スマホを制すれば世界に勝てる

2016 年 2 月 29 日

ある調査機関の最新のニュースで、PCとスマホでインターネットにアクセスする比率は、3:7と聞いた。
動画に関しては、なんと80%がスマホで見ているという。
スマホは、まさに、手のひらにあるという利便性が、現代人にとっての必需品以上、パートナー的な役割を持つようになったという事かもしれない。

ビジネスも、スマホを使ってのマーケティングが大流行だ。
インバウンド需要で活気づく国内の観光業界でも、いかに有効利用できるか、各分野で研究、勉強をしている。

そこで登場するのが、いわゆるコンサルタント。
いち早く、情報を収集するアンテナを持つ彼らは、迷える子羊たちを、魅力的に惹きつける。

しかし、注意しなければならないのは、そこで教える内容だ。
まず、基本の、業界の動きを教えてから、あるところの成功例を紹介する。
こうしたらから、こうなった・・・という感じの。

だいたいが、そこで終わり。
自分の会社に置き換えて、応用させるのは、はやり自分自身の実行力、戦略に頼るしかない。
ヒントを与えてもらって、そこでどうやって次の手を打つかは、自分自身の判断しかない。

他のマネをすれば、それは二番煎じ。
上手くいってもそこそこで、天下を取れることはまずないだろう。

だからこそ、自分の会社の魅力、長所をできる限り、客観的にリサーチする必要がある。
これは、自分自身より、他人に教えてもらった時の方が、気づく事が多い。

スマホを制すれば世界に勝てる・・・といったが、スマホというのは一種のゲームのルールであって、自分自身のチーム(会社)が勝てるようになるには、自らの戦力分析をし、オリジナルの戦略を立てるしかないのである。

宿泊施設の生き残り策

2016 年 1 月 31 日

業界紙(誌)やネットの関連サイトを見ると、経営セミナー、Webセミナー、インバウンドセミナーなど、セミナー告知が多いな~と改めて思う。
ある旅館の経営者から聞いた。
「ここ数年、一通りセミナーを受講して、色々と改革している。でも、驚くほどの効果は上げていない。」とか、
「社員に受講させ、それを実施しているが、効果は長い目で待つ。」とか、
「数字などデータをまとめて、経営の“見える化”、課題の“見える化”は成功したが・・・」とか、様々だ。

今は、インバウンド特需を享受している宿泊施設は多いが、こればっかり頼っているのも、心もとない。
昨年、日本一の集客力を誇った箱根温泉郷でも、大涌谷の噴火があって観光客が激減したように、自然災害が、いつ何時、何処に起きるか分からないし・・・。

ある経営コンサルタントは言う。
「起業しても10年以内に95%が廃業する」
「30年なら99%消滅」
・・・とか、恐ろしい事を言う。

立場は違うが、私の経営するひとつの会社も、もうすぐ31年目を迎える。
振り返れば、大学生の時から、社会人にならず、そのまま起業したわけだから、無鉄砲だったな・・・と振り返る(汗)。
当時は、領収書も請求書の書き方も、よく分からなかったような気がする(苦笑)。

でも、考えてみれば、なぜ、会社が続けられたかという理由を探すと、「師匠がいなかった」事のような気がする。
要するに、ビジネスの方法を教えてくれる会社や、先輩に頼らず、自己流でやっていったという事。

それはそれで、失敗の連続で、当時は大変だったが、若さのせいか、それも今振り返れば楽しかったような気もする。
当時、出ていた自己啓発本らしきものは、読んでいたような記憶もあるが、大事なものは、他社にない「オリジナリティ」があれば、生き残れるという事を学んだ。

ライバルの大きな会社が、右を向けば、私は左を選択した。
真逆こそが、我が道なりと信じて。

そうすると、それが面白い、使ってみようか・・・という会社が現れる。
そして、成果を出して見せる。

そんな繰り返しだったような気がする。
そして今、思うのは、宿泊施設の経営者の方々に言いたいのは、セミナーを受講して、それをどのように消化するかという事。
同じテキストで、何百、何千の受講者に教えるのだから、そのまま実行したら、どこも同じビジネスモデルとなってしまう。
金太郎飴の如く、何処も同じような施設になってしまうという事なのだ。

私の知っている、超がつくほどの繁盛旅館は、まさに「オリジナリティ」の宝庫。
まさに、我が意を得たり。

2015年はリアル・インバウンド元年?

2015 年 12 月 31 日

それは、12月22日のテレビのニュースで知った。
今年、日本を訪れた外国人の旅行者数が、12月19日で、1,900万人を突破したという。
2013年2月以降、先月まで34か月連続でその月の最高記録を更新していて、3年前より1,000万人以上増えたことになる。
国交省は、ビザの緩和や免税制度の拡充などの取り組みが功を奏したとみているらしいが、もちろんそれだけではない。
国内の宿泊施設も、新しいマーケットを求めて、充分に努力した結果が実を結んだ。

もうひとつ驚くべきことは、出国した日本人の数(アウトバウンド)は45年ぶりに訪日外国人(インバウンド)の数を下回ることが確実になったという。
45年前といえば、1970年の大阪万博があった年。
実にそれ以来の、インバウンドがアウトバウンドを逆転したことになる。

観光庁が発表している統計(2014年度)を見れば、日本はインバウンド受入数で、世界22位。
アジアの中でも、7位だった。

しかし、日本は、歴史・文化が豊富な事、治安がいい事、交通インフラが整っている事、ゴールデンルートだけでなく、各地方に自然や観光名所などが数多く点在している事・・・などを考慮すれば、フランス、アメリカなどの観光大国以上に魅力的であると思う。

アジアで7位というのは、あまりにも今までが低すぎた。
これからは、インバウンド年間2,000万人どころか、5,000万人も夢ではなくなったような気もする。

今まで、日本人の富裕層をはじめとした顧客を持っている国内の宿泊施設は、日本人だけ見ていればよかった。
しかし、日本人は休前日や、連休などに集中する短期型の休暇を求める傾向にある。
それでは、なかなか平日の客室稼働率も上がらず、繁忙期と閑散期という概念も生まれた。

それが、海外の顧客を獲得できれば、日本と休暇のスケジュールも違い、閑散期もなくなる事もあるだろう。
インバウンド客にとっては、日本を訪れる事は、海外旅行であり、平日休日関係なく、数か月前に予約が入るという点も、国内の宿泊施設にとってはメリットだ。

すでに、リピーター化しているインバウンド客は多い。
これも、観光庁のアンケート資料から見ると、「もう一度日本に来たい」と思っている旅行者が7~9割もいる。
その中で、「体験したい事」を聞けば、「日本食を食べたい」「温泉に入りたい」「日本の文化・風習に触れたい」などが上位を占める。
・・・これって、「旅館」に泊まれば全部体験できること!

日本は、都市部と地方との格差が問題視されて久しい。
しかし、観光という産業が、これから地方が生き残る最良の道と思えてならない。

「ここには何もないよ」と、自虐的に語っていた日本の地方に住む人たちの言葉は、海外からの旅行者にとっては、
「こんな自然が残っているって素晴らしい!」・・・と見えるのである。

漫画、アニメなどを代表とするサブカルチャーも、世界をリードしている日本。
ある歌の歌詞にもあったが、ニッポンの未来は世界も羨む・・・のである。

旅館の鎖国政策

2015 年 11 月 30 日

本当に、数年前までは、日本の旅館は、まさに鎖国制作を取っていた。
うわべ上は、海外のお客様も歓迎しますと言っておきながら、それに対応するような、英語表記の看板も、案内も少なかった。

ところが、今や年間の外国人客訪日数2000万人超えも夢ではなくなった。
そんな中、この波に乗って、急激に業績を伸ばしている旅館がある。
そこに共通しているのは、ターゲット層の多国籍化だ。
つまり、日本国内のマーケティングだけでなく、世界中のお客様に対して、プランを組むということである。

日本には四季があり、それぞれのシーズンの繁忙期には、当たり前のように日本人が観光客として押し寄せるが、少し時期がずれると、旅館には閑古鳥が鳴いた。
しかし、世界に目を向けると、例えば、(亜)熱帯エリアの国の人たちは雪に感動し、逆に極寒エリアの国の人たちは、日本の温かさに心躍る。
つまり、今まで閑散期だったシーズンを、海外のお客様をターゲットにする事で、その隙間を埋めてしまえるという事なのだ。

今までは、日本の旅館の売店では、冬の時期は、夏物の衣類は置いてなかった。
逆に、夏の時期には、ダウンジャケットなどは置いてなかった。
しかし、(亜)熱帯エリアの国の人たちは、冬に日本に来ても、自国で着ないダウンジャケットはお土産としては買わない。
極寒エリアの国の人たちは、夏に日本に来ても、夏物衣類よりも、自国で着られるダウンジャケットをお土産として好むだろう。

バブル時期に持てはやされた、お金持ちの代名詞だった錦鯉も、今や日本の商圏は縮小するばかりらしいが、西アジア、ヨーロッパでは、大ブームらしい。

これは一例だが、ターゲットを世界中に拡げると、在庫処分どころか、売上げが大幅にアップできるという事がお分かりになるだろう。

先日、紅葉の撮影のために、九州に出向いた。
紅葉のシーズン真っ盛りだったので、いつも利用している旅館は満室で部屋が取れない。
仕方なく、楽天トラベルや、じゃらんnetで調べると、トップシーズンでありながら、ビジネスプランと称して、激安の宿泊プランを見つけることができた。
いざ、泊まってみると、外国人が喜びそうな、昭和の香りのする和風建築で、温泉もいい。
しかし、お客はすべて日本人のご年配の方ばかりだった。
女将に聞くと、「うちは今までもこれからも日本人客だけでやっていきます。(外国人客を入れると)常連客の方に申し訳ないから。」
こちらの女将は、お風呂のマナーも分からないひと昔前の外国人客への偏見もあるようだが、人それぞれの考え方もあるし、私も否定はしない。
しかし、経営的にいつまでやっていけるのか、疑問には思う。
時代の流れ・・・と簡単に言うが、これに乗り遅れると、とばっちりをくうのは、旅館経営者本人なのである。

日本人だけというより、日本人のみにターゲットを絞った旅館経営は、それはそれで、ひとつの個性であり、ウリでもある。
だが、古くからの常連客の話ばかり聞いているだけでは不安だ。
客は、宿が潰れても、何も保証してくれない。

今年の“紅葉”

2015 年 10 月 31 日

今、私は、この時期、目が回るほどの忙しさだ。
その原因は“紅葉”にある。
昨年から、空撮(ドローン撮影)を始めたからだ。
予想以上の受注を受け、全国を飛び回っている。

新緑の季節は2ヶ月、雪景色は場所によっては4ヶ月以上もある。
ところが、“紅葉”のピークは、あっという間に過ぎ去ってしまう。
1~2週間といったところだろう。

だからこそ、いっせいに色付き始める10月下旬から11月は、例年になく忙しくなった。
この時期の温泉宿は、繁忙期にあたる。
だからこそ、宿泊する部屋の確保も難しくなる。

考えてみれば、今まで空撮などやっていない時は、繁忙期は温泉取材など行かなかった。
閑散期を狙って、出かけていた。
しかし、それも今はできない。
映像確保が第一だからだ。

思えば、銀塩カメラの時代、フィルムが一番売れたのが、紅葉の時期だったという。
夏休みでもなく、GWでもなく、お正月でもない。
紅葉が、まさしく行楽シーズンの中心なのだ。

考えると、紅葉の季節は、やはり彩りが美しい。
赤、黄色、緑・・・とバリエーションがある。
新緑や、桜の季節もいいが、やはり、“絵”になる写真が撮れるのが、この時期なのだ。
カメラを持って出かける人たちが、全員フォトグラファーとなる季節なのだ。

私は、明日も、明後日も、4K対応のカメラを積んだドローンを持って、全国を動いている。
もちろん一眼レフも忘れていない。
あと1ヶ月は覚悟の時期となる。

準備という名の”修行”

2015 年 9 月 30 日

私は、旅が好きだ。
仕事にもしているぐらいだから、間違いなく好きだと思う。
しかし、私の場合、それも、ある大きな段取りが必要となってくる。
旅の「準備」というやつだ。

荷造りも含めて、その「準備」というのが、私の最大の苦手事項。
私にとっては、苦行そのものなのだ。

仕事の時はもちろん、PC類から、多岐に渡る撮影機材を大量にクルマに積むので、大きな4WDのワゴンは荷物でいっぱいになる。
やりかけの原稿や、企画書の類いもいっぱいある(これが一番の悩み)。
1~2週間、東京を空けるという事は、それまでにしなければいけないタスクを済ましておかなければいけない。

問題は、プライベートの時でも、同じような大量の荷物になってしまう事だ。
要するに、どうせ旅に行くのだから、撮影機材を持っていこう(仕事に利用できるし)・・・と思ってしまう。
プライベート旅行で、思い切って、身軽で出かけてみると、そういう時にこそ、二度と見られない絶景に出くわしたりする。
そんな時、あのカメラとレンズを持って来れば・・・とか、ドローンを持っていけばよかった・・・とか、大いに後悔する事しばしば。
さらには、終わらない仕事も、時間を見つけてやらねば・・・とか。
だからこそ、あらゆる事を想定して、大荷物になってしまうのだ。

そして、その準備に、旅の前日は必ずと言っていいほど、徹夜になる。
まさに、苦行・・・いや、“修業”そのもののような感もある。
あれを持って来れば良かった・・・という後悔が、一番嫌なのかもしれない。

だからこそ、旅の準備という名の“修業”を、繰り返す。
その“修業”を上手く乗り越えての旅行は、間違いなく楽しくなる。

そんな“修業”があっても、旅が好き。
ずっと、同じ場所では暮らせない。
どんなに体力的に疲れていても、旅に出れば、テンションが上がるのか、アドレナリンが出るのか分からないが、東京にいる時と違う自分がいる。
まず、人に会い、話す機会が、東京にいる時より、圧倒的に多い(それも、そうだ・・・東京にいる時は、篭って編集作業したり、何か書いたりしてるし)。

でも、この人生のルーティンワークのようなものが、今の自分には合っているような気がする。
旅は、移動するせいか、刺激的であり、何かインスピレーションを誘発させてくれる。
人間は、シチュエーションが変われば、何か、新しい発見が生まれる。
場面が変わらない映画はつまらないしね。
スマホばっかり見たり、テレビの旅番組見て、行った気分になるのは寂しすぎる。

しかし、着替えなど、身のまわりの用意をするのが、一番の苦手。
要するに、荷造りが苦手。
だから、荷物も多い。
よって、私は、国内に限っては、沖縄以外は、すべてクルマによる旅行になるのである。

北海道にて

2015 年 8 月 31 日

今更ながら思うが、全国旅をしている私は、すでに何処に行っても、いわゆる“旅情”気分が味わえなくなって久しい。
それもそのはず、仕事で日本中を周っているのだから、当たり前か。

そんな中、昨年に続いて、北海道・十勝で、新人研修合宿を敢行。
私も北海道に取材目的ではなく赴いた。

しかし、何度も感じることだが、北海道は何度来ても、“旅情”気分が、薄まらない。
それは、本州にはない土地の広大さと、冷涼な空気がそうさせるのか・・・。
いつも、この土地に足を踏み入れると、なぜか精神的にリセットさせてくれるような気がする。

元々は移住者で、小さな宿を切り盛りしている若者や、地道に美味しい野菜を作り続けている老夫婦、一人で45日間も道内を旅している香港の大学生など、今年も、新鮮で嬉しい出会いがいくつかあった。

合宿先では、昨年も数日間、同じ宿を共にした、釣り名人の人生の先輩にも、1年ぶりに再会できた。
それと、名古屋からヒッチハイクで北海道まで辿り着き、宿でヘルパーをしている若者にも出会った。
この北海道という大地には、何か人を活性化させる、エネルギーみたいなものがあるように思える。

しかし、そんないいことばかりではない。
私の崇拝する映画界の巨匠、山田洋次監督が、定宿にしていた某・道東の温泉旅館が、ひっそりと売却されていた。
宿の社長が、昨年、体調を崩して、後継者もいなかった事から、廃業に至ったらしい。
「男はつらいよ」「幸福の黄色いハンカチ」「遥かなる山の呼び声」・・・など、北海道ロケの際には、監督が必ず利用していた(プライベートでも)宿が、昨年無くなっていた・・・。
悲しかった。

ここだけでなく、北海道は、小規模の温泉旅館が次々と廃業している。
自然の厳しさとともに、後継者問題、そして一番肝心な営業赤字問題。
温泉旅館がなくなれば、そこが管理していた温泉も消滅するという事なのだ。
これも悲しい。悲しすぎる。

そのような流れを少しでも食い止めるべく、微力ながら、サポートしていこうと、私なりに心に誓った。
また、来るぞ、北海道!

時間は人生の宝物

2015 年 7 月 31 日

私も齢50を過ぎて、“時間”というものが非常にありがたいものと、より一層思うようになった。
20代の若い頃は、そんな考えは持っていなかったと思う。
人生の後半戦に入って、私だけでなく、誰もが思う考えかもしれない。

私が、よく利用する温泉旅館やホテルで過ごす“時間”を振り返ってみる。
仕事や日常を過ごしている“時間”と違い、そこには同じ“時間”でも、中身が全く違う。
まさに別物。

“時間”に追われる事もなく、自分のペースで、ゆったりと心身ともにリラックスできる“時間”がそこにはある。
その“時間”は、時には、宝石のような「思い出」となって記憶に残っていく。
初めて両親を温泉旅館に招待した時。
初めて異性と宿泊した時。
初めて子供という新しい家族を連れて旅行した時。
・・・それぞれが、まさに「人生の宝物」のように、記憶に残っている。

思えば、宿に泊まる時には、その宿泊料金を払う事になるのだが、考えた方を変えれば、それは素晴らしい“時間”に対して対価を支払うようなもの。
宿泊料金というより、かけがえのない“時間”に対しての料金だと、私は最近思っている。

気がつけば、季節はもう夏本番。
それぞれの人たちが、この夏の“時間”を楽しむのだろう。
是非、素晴らしい“時間”にめぐりあってほしい。
もちろん、私も、そうするつもりだ。

入浴マナー

2015 年 6 月 29 日

最近、撮影で訪れた、とある関西の温泉地。
古くから名湯で知られるこの地域では、ここ数年、外国人客が驚くべきスピードで増えているという。
実際、私が滞在した某宿では、2泊3日の日程の中で、ほぼ半分以上の客は日本人ではなかった。
さらに、宿を出て、温泉街の中心を歩いてみても、日本人はほとんど目立たなかった。

そんな夜。
いつものように、一日の仕事を終え、夜11時過ぎに大浴場に向かった。
すると、先客がいたようで、入り口にスリッパが一人分脱ぎ捨てられていた。
私は脱衣所に歩を進めると、併設のトイレの扉が開いている事に気づく。
中には人がいるようだ。
そう思った瞬間、トイレで用を足していた男性は、私の存在に気づき、慌ててトイレのドアを閉めた。
後で分かったが、彼は中国からのお客さんで、さすが噂には聞いていたが(仕切りのない公衆トイレのこと)、やはりトイレには開放的なんだな・・・と、思わず納得してしまった。

あとで、彼は、私がカラダを洗っている近くに、椅子をとって、シャワーを浴び始めた。
私は、温泉であろうと、銭湯であろうと、パブリックのお風呂の場合は、石鹸を使ってきれいに洗い流して、頭も洗って、湯舟に浸かろうと決めている。
その中国の彼は、私と同様、丁寧にカラダを洗っていた。
彼は、トイレはともかく、お風呂に関しては、マナーを知っている客なんだなと嬉しくも思った。

それから数分後、新たな客が、大浴場に入ってきた。
彼は、洗い場には行かず、なんと、かけ湯もせずに、すぐに湯舟のふちに腰を下ろした。
見た目、まだ20代の若者だった。
私は、頭を洗いながら、彼をチラチラ見ていたが、すると、ゆっくりと腰を湯舟に入れようとしていた。
私は、思わず「ちょっと待って!カラダを洗った?」と叫んだ。
すると、彼は言葉の意味が分からないのか、キョトンとしていた。
その後、さらに湯に下半身を入れようとしたので、私は外国人客と判断し、カタコトの英語で「Wash!Wash your body!」と2度目の忠告。
すると、やっと意味が通じたらしく、首をかしげながら、彼は洗い場に向かった。

それから数分後、私は待望の湯舟に浸かり、ゆったりとしていると、さっきの彼が友人らしき人と談笑しながら同じお風呂に入っていた。
その彼らの会話を聞いてみると、なんと日本語。
彼は日本人だったのだ!
今や、入浴マナーは、日本人より、外国人のほうが知っているという事実を目の当たりにした瞬間だった。

日本人は、日本独自の温泉文化を守るためにも、せめて掛け湯をしてからの入浴を実践してほしい。
日本国内においては、外国人客は、日本人客の動向を参考にしながら、文化に溶け込もうとしているのだから。

旅館ホテルが育てたモンスター

2015 年 5 月 31 日

最近、銀行出身の旅館経営に携わる方に会った。
彼は最近の予約動向に関して、「最近は、じゃらんnet、楽天トラベルなどの予約サイトを無視できない。実際、前年比で、じゃらんnetも、楽天トラベル経由の予約が増えている。これからもネット予約サイトに力を入れていきたい」・・・という考えらしい。
数字だけで見れば、その通り。
しかし、それには業界独特の“ウラ読み”が必要だ。

予約サイトのTOPページからアクセスして、そのままその宿を選択して予約するのが、本来の予約数。
しかし、ネットの場合、そう簡単ではない。
宿名を知っていて、その宿をネット検索して、公式HPをチェックして、それから複数ある予約サイトから予約する可能性があるからだ。
ご存知のように、予約サイトから手続きすれば、ポイントが付く。
アカウントを持っていれば、公式HPで、住所、電話番号など個人情報を入力する必要もない。

ビジネスホテルは別にして、観光目的の旅館ホテル選びは、予約サイトだけで完結させる場合は少数派だろう。
ほとんどの場合、公式HPを閲覧し、クチコミサイトもチェックするものと推察できる。
雑誌、テレビなどを見て、宿名を知っている場合もある。

弊社調査によると、予約サイトからの予約成立は、実際の数字の10~30%と出た。
つまり、その月のある予約サイトの予約数が100件だとすれば、実際その予約サイトの力だけ(TOPページから入って予約した場合)は、10~30件ほどという事。

10から30の差は、公式HPに、予約サイトのポイントに対抗できるような特典を付けているかどうかの差でもある。
つまり、予約サイトの数字が伸びてきているとの兆候があるという事は、公式HPに何らかの対策が必要だというサインでもある。

さらに忘れてならないのは、多くの予約サイトは、「宿名」で検索連動広告を出している事。
GoogleやYahooで、宿名で検索すれば、すぐ下か横に、〇〇旅館の予約は予約サイトの△△へ・・・と表示される広告の事。
まさに、客泥棒、手数料泥棒と言っていい。

数日前に、ある旅館関係者から聞いた。
楽天トラベルが、近々、旅館から徴収する手数料(宿泊料金の約10%)を、今まで消費税抜きの宿泊料金で計算していたものを、これから税込みの料金から計算するとの通達があったらしい。
つまり、現在8%の消費税だが、これにも手数料を加算する事で、実質的な値上げである。
じゃらんnetや楽天トラベルなどの予約サイトにとって脅威と見られていたYahoo!トラベル(実質手数料0円を標榜)が、リニューアルオープン間近でトラブルを起こし、さらには震災後の不景気も底を打った状況を見ての判断だろうが、ついに手数料値上げのカウントダウンが始まった。
彼らは18%を目標に、これからも宿泊施設側にとって、モンスター化していくだろう。

それを育てたのも、旅館・ホテルの施設側。
安易に目の前のお客が欲しいゆえの安易な販促戦略がそうさせた。
予約サイトはじめ、旅行代理店出身のコンサルタントに、相談したり、参考にした結果かもしれない。

わが愛する旅館・ホテルよ、早く目を覚ましてほしい。
インターネットという、公平かつ、平等に与えられたインフラを活用すべき。
このままでは、宿泊料金という価格さえ、予約サイトの言いなりになってしまう。
宿泊施設側には、「予約サイトに力を入れていく」のではなく、あくまでも「予約サイトを利用して、自社公式サイトからの予約数を増やす」といった、したたかさが欲しい。
私に言わせれば、その方法、施策は、まだたくさん残っている。