宿の選び方と、宿の見せ方

この文章を書いている時期は、まさに日本国中がゴールデンウィーク。

一部の人を除いて、国内はもちろん、海外へ大移動をしている時期である。

旅を日常としている私は、こんな時は、ある場所に籠って何もしないと決めている。

そのほうが、ストレスを感じないし、また、日ごろ忙しい中、整理できなかった仕事も片づけられそうだからだ。

 

さて、そのゴールデンウィークのおよそ1か月前になると、宿探しに困っている知人から、私に相談の連絡が来る件数が増えてくる。

予約サイトを見ても、ガイドブックで探しても、ピンとこないという。

ふだん、旅行をしていないと、どこがいいとかのカンが働かないのか・・・。

 

宿選びは、クルマ選びに似たり。

趣味的に欲しいクルマと、現実的に必要なクルマは違う。

自分だけで選ぶならそれほど時間がかからないが、家族がいる人は、それぞれの意見を聞く必要があるので、時間がかかる。

 

宿のホームページを見ると、それぞれの特徴はよく分かる。

料理が美味しそうだとか、温泉がいいとか、景色がいいとか・・・。

でも、ふだん、旅をしない人にとっては、それでも探すのが難しいという。

自分たちが、そこに泊まっての想像がつかないのか、いわば「妄想」っぽいものが働かないのか・・・。

つまり、その場に身を投じて、心地いいか、ゆったりできるか、周辺の観光ができるか・・・などのイメージが湧かないのかもしれない。

 

宿側のホームページは、いつのまにか、Webデザイナーやコンサルタントに制作を任せ、それが美しいサイトを作り上げることはできたかもしれないが、どこも同じようなものばかりで、違いがよく分からなくなってきたのかもしれない。

 

こんな人におススメ・・・のような、コンシェルジュ的な案内も、ホームページに必要なのかも。

分かりやすさを追求するのは難しい。

人それぞれに、宿選びのスキルが違うのだから。

こんな温泉宿のWebサイトが懐かしい

いまや、スマホ全盛の時代。

そして、レスポンシブWebデザインの時代。

簡単に言えば、スマホやPCのデバイスのサイズに合わせて、最適に表示させる仕組み。

画像も大きく、きれいになって見やすい。

 

ただ・・・どれも似たりよったり。

良く見せることを前提に作っているのだから、当たり前と言えば、当たり前。

 

だったら、画像は無理でも、文章で差別化を図ったらどうか?

 

例えば、施設のページ。

「伝統ある木造建築は、古き良き時代を連想させ、居心地のいい空間を作っている」・・・とか、書いてあるのが普通なのだが、これを・・・「由緒ある木造建築と言えば聞こえはいいが、内情は単にお金がなくて改装できないだけの話。でも、そのほうが落ち着くと常連さんのご意見。もちろんお掃除には丁寧かつ時間をかけています!それと洗浄機付き便座など、最低限の設備はあるのでご安心を。」とか(笑)。

 

温泉のページは、こんな感じはどうだろう。

「露天風呂には、まれに葉っぱや虫が浮いている場合があります。いくら掃除を頑張ってもそれは難しい問題です。なにしろ当館は、大自然の中にある宿なので。」・・・これ、宿のロケーションの良さを暗にアピールしていますね。

 

料理のページは・・・「厳選された旬の食材を、料理長が丹念に作り上げた渾身の料理」と言いたいところを、「舌で目でも楽しめる献立と評判をいただいておりますが、宿泊料金を考えると、とってもリーズナブルとよくお客様に言われます。」・・・これって、コストパフォーマンスの良さをアピールしていますね。

 

こんな風に、文章に変化を持たせるのも面白いというわけ。

でも、これって15年ほど前ぐらいには、けっこうあったような気がする。

オーナー自らの文章で、宿を宣伝していた時代があった。

画像が小さくて、文章が主役だった頃。

 

現在は、ちょっととがった事をすると、炎上してしまう。

クチコミサイトに悪評を書かれるのも怖い。

窮屈な時代になった。

最新武器を生かす戦略

商いとは、利益をあげる目的で、モノを売り買いする事。

その経済活動によって、人々の生活が成り立っている。

 

現代社会は、その商いも多様化し、種類も、システムもより複雑化している。

旅館やホテルの集客方法も、年ごとに新しい仕掛けが誕生している。

その部分を研究し、自分にあったサービスを探しだすのも、商いのひとつなのだろう。

 

昨年「インスタ映え」という言葉が、流行語となったが、画像のキャッチフレーズみたいなもので、画を見れば、その中身というか、面白さが分かる・・・というものだろう。

だからこそ、宿泊施設のオフィシャルサイトのトップページには、「わかりやすい画」が必要なのだ。

それは、つまり「動画」。

文字よりも、または静止画よりも、多くの情報をサイト閲覧者に伝えられる。

SNSの代表、Facebookも同様だ。

「動画」を投稿すれば、そのまま購買(予約)につながる可能性が高くなるデータは出ている。

 

大手予約サイトである「楽天トラベル」も、今年大幅な刷新が図られると聞いた。

そこにも、「動画」を投稿できるプラットフォームが用意されるという。

 

このように、次々と新しいマーケティングの手法が、生み出されていく。

しかし、そのまま鵜呑みにしてはダメで、しっかりと自分にあった方法を作り上げなくてはいけない。

 

人材、施設、立地、温泉、周辺観光、伝統・・・など、人気宿泊施設の要素は色々あるが、それがひとつでも欠けていれば、それを補う「戦略」が必要となってくる。

つまり、何事も戦略を練るには「情報」が必要で、それを生かす「分析力」が絶対に大事になってくる。

自分の宿を繁盛させる、独自の「処方箋」を自ら作れるかが、生き残れる条件とも言えるだろう。

 

いまの観光業界は、日本の歴史の中の「戦国時代」の末期にも似ている。

「種子島=鉄砲」という最新武器が伝わり、新しい「戦(いくさ)」のやり方を考え出した武将が勝つ時代になったのかもしれない。

1575年の長篠の戦いは、新兵器を上手く自軍に取り入れた織田・徳川連合軍と、先代から無敵を誇った騎馬隊を擁する武田軍の衝突。

誰もが、信長のように、勝者になりたいはず。

歴史は語る。