‘温泉’ カテゴリーのアーカイブ

温泉は源泉かけ流しが一番か?

2017 年 3 月 31 日 金曜日

このテーマは、温泉評論家、ライターさんなど、温泉に関わる仕事をしている人たちによって、微妙に考え方が違ってくる。

源泉かけ流しでなければ、温泉ではない・・・と主張する人もいれば、湯温が高温だったり、湯量が少なかったり、または大人数の人たちが利用する湯舟であれば、塩素消毒付きの循環ろ過も必要だとする人もいる。

 

ちなみに、源泉かけ流しとは、一般的に解説すれば、湯舟に温泉が注がれ、湯舟から温泉が溢れ出る、いわゆるオーバーフローする温泉の事。

常に新鮮な温泉が注がれているという状況。

例外として、オーバーフローしなくても、サイフォン方式というか、湯舟からパイプを横に出して、そこから湯を出す方式の湯舟もある。

 

そもそも、温泉は源泉100%だからこそ温泉であり、それ以外は認めないという考えは、恐ろしい事に日本国内ではおよそ90%以上の温泉(施設)というものが無くなってしまう。

源泉かけ流し至上主義と言われる人たちは、一般の人たちと比べて、温泉地に近かったり、そこまで行く時間とお金がある人たちが多い。

車中泊をしてまでも、温泉に行く人が、この源泉かけ流し至上主義の人が多い気がする。

 

では、源泉かけ流しは、衛生的か?と言われれば、疑問と言わざるを得ない。

利用者それぞれが、入浴前に、かけ湯はもちろん、石けんでカラダを洗ってから入るという前提が必要だからだ。

短時間で湯舟が新鮮な温泉に入れ替わるような、湯量豊富のドバドバかけ流しばかりが、源泉かけ流し風呂ではない。

湯量チョロチョロの、源泉かけ流し湯舟も多く存在するのが実情。

 

私なりの結論を言えば、療養・治療目的であれば、源泉100%かけ流しの温泉を探し、観光目的であれば、景色やロケーション中心で(源泉100%にこだわらず)温泉を探せばいいだけの話。

1日2日では、源泉100%かけ流しの効力は高が知れている。

いわゆる湯治は、ある程度の日数が必要になってくる。

1泊2日のストレス解消目的旅行であれば、なにも源泉100%にこだわる必要はないわけで。

料理目的に温泉地に行く人も多いはずだし。

 

だからこそ、温泉施設には、誰にでもわかる温泉(源泉)の利用状況をホームページ上で開示して欲しい。

温泉の事があまり詳しく表記していない宿に、電話で質問すると、スタッフから「あんた何が目的?」とか凄まれることもあった。

ただ、こっちは単に温泉のことを知りたいだけなのに・・・。

ホームページ上で、温泉の事を詳しく表記しなければならないという法律がないから、こうなっているのか?

そういえば、販売料金を表示しないガソリンスタンドに似ているなあ。

鳴子温泉郷は9種類の泉質?

2013 年 4 月 30 日 火曜日

JR東日本のCM。

「大人の休日倶楽部」鳴子編にて、吉永小百合さんが、「日本にある11種のうち、9種の泉質が揃うという鳴子温泉郷」・・・とナレーション。

 

ん?

たしか、以前、私の取材した記憶だと、ひとつ少ない8種類のはず!

 

鳴子温泉旅館組合のホームページをチェックしてみた。

すると、こう書いてあった。

※( )内は、新泉質名。

①    単純温泉(単純温泉)

②    重炭酸土類泉(炭酸水素塩泉)

③    重曹泉(炭酸水素塩泉)

④    食塩泉(塩化物泉)

⑤    芒硝泉・石膏泉(硫酸塩泉)

⑥    明礬泉(硫酸塩泉)

⑦    緑礬泉(鉄泉)

⑧    硫黄泉・硫化水素泉(硫黄泉)

⑨    酸性泉(酸性泉)

 

なるほど。

CMでは、「旧泉質名」で、9種類と言っているわけだ。

 

実際、現在では、掲示用泉質名(新泉質名)と呼ばれるものが一般的であるが、それは下記の通り、11種類に分けられている。

①    単純温泉

②    二酸化炭素泉(単純炭酸泉)

③    炭酸水素塩泉

④    塩化物泉

⑤    硫酸塩泉

⑥    含鉄泉(緑礬泉など)

⑦    含アルミニウム泉(含明礬・緑礬泉など)

⑧    含銅-鉄泉(含銅・酸性緑礬泉など)

⑨    硫黄泉

⑩    酸性泉

⑪    放射能泉

 

この分類でいけば、鳴子温泉郷の泉質は、②二酸化炭素泉、⑧含銅-鉄泉、⑨放射能泉・・・の3つが不足している。

つまり、新泉質名で言えば、鳴子温泉郷は、9種類ではなく、8種類が正解というわけ。

 

しかし、未だに、旧泉質名を併用して掲示している温泉地が多いのも事実。

それよりも、「温泉のデパート」という別称があるぐらい、泉質はもちろん、湯量が豊富な鳴子温泉郷。

9種類だろうが、8種類だろうが、鳴子温泉郷は、日本の温泉地では横綱クラスのランクである事は間違いない。

 

もともと11種類に大別したのも、人間が分かりやすく理解するためのもの。

成分が基準値まで届かず、泉質名の付かない温泉も存在するし・・・。

実際は、温泉地、いや、源泉井戸ごとに、泉質は違っている。

さまざまな成分が入り混じっているから、源泉ごとに泉質は微妙に違っているというわけだ。

国内には、およそ27,000本の源泉があると言われている。

厳密に言えば、すべて違う泉質という事なのだろう。

 

もうひとつの「温泉」の定義

2009 年 11 月 19 日 木曜日

先に、温泉源から採取される温度(25℃以上)の条件と、19の物質のひとつでも入っていれば・・・という条件のいずれかがクリアされれば「温泉」であると述べた。「温泉法」という法律によるものである。

しかし、「温泉」と似た様な単語の「鉱泉」とは、何なのだろうか?
現在、環境省のHPに掲載されている「鉱泉分析法指針」を見ると、細部に渡って分類しているが分かる。
そこには、「鉱泉」の定義として、「地中から湧出する温水および鉱水の泉水で、多量の固形物質、またはガス状物質、もしくは特殊な物質を含むか、あるいは泉温が、源泉周囲の年間平均気温より常に著しく高いもの」と謳っている。

これだけ見れば、温泉=鉱泉となる。
しかし、「鉱泉」は、泉温によって分類している。
25℃未満の場合は、冷鉱泉。
25℃以上34℃未満は、低温泉。
34℃以上42℃未満は、温泉。
42℃以上は、高温泉となる。
「温泉法」でいう「温泉」の定義は25℃以上。
しかし、「鉱泉分析法指針」によると、34℃以上42℃未満となるから、いささかややこしくなる。

また、液性の分類というのもある。
pH(ペーハー)3未満は、酸性。
pH3以上6未満は、弱酸性。
pH6以上7.5未満は、中性。
pH7.5以上8.5未満は、弱アルカリ性。
pH8.5以上は、アルカリ性となる。

「鉱泉分析法指針」によれば、その「温泉」の中でも、もうひとつ上のグレードとも言える「療養泉」という定義が存在する。
源泉から摂取される時の温度が、25℃以上。
そして下記の物質のうち、ひとつでもクリアしていれば「療養泉」となるのだ。
溶存物質(ガス性のものを除く)・・・・・・・・総量1,000mg以上
遊離二酸化炭素・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,000mg以上
銅イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1mg以上
総鉄イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20mg以上
アルミニウムイオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・100mg以上
水素イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1mg以上
総硫黄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2mg以上
ラドン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30(100億分の1キュリー単位)以上

そしてこの「療養泉」のみ、泉質名が付けられる。
物質条件は8項目あるが、これがいわゆる泉質名を決める根拠となるのだ。

また視点を変えると、「療養泉」に成りえなかった「温泉」も存在することになる。
つまり、「泉質名を持たない温泉」もあるということなのだ。
その場合、泉質名を「その他の温泉」「温泉法上の温泉」と表記するところもあるようだ。

このように、「温泉法」と、環境省による「鉱泉分析法指針」という、2つの”法則”があるため、非常に分かりにくいところがあるのは否めない。
また、「温泉法」は、非常に”ユルイ”規定となったため、ほとんど真水と変わらない「温泉」が、数多く日本に登場することになった。
日本全国、どこでも旅行と言えば「温泉」を求める日本人という国民性が、この法律を誕生させたのだと、容易に想像できるのだ。

温泉とは?

2009 年 11 月 18 日 水曜日

1948年(昭和23年)に”温泉法”が制定された。
その中で「温泉とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、別表に掲げる温度又は物質を有するもの」と定められた。
その”別表”には、「温泉」の条件は、温度(温泉源から採取された時の温度)が25℃以上。
そして、もうひとつの物質の条件で、以下に掲げるもののうち、いずれか一つが入っていれば「温泉」となる。
溶存物質(ガス性のものを除く)・・・・・・・・・・・・・総量1000mg以上
遊離炭酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・250mg以上
リチウムイオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1mg以上
ストロンチウムイオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10mg以上
バリウムイオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5mg以上
フェロ又はフェリイオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10mg以上
第一マンガンイオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10mg以上
水素イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1mg以上
臭素イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5mg以上
沃素イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1mg以上
ふっ素イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2mg以上
ヒドロひ酸イオン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.3mg以上
メタ亜ひ酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1mg以上
総硫黄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1mg以上
メタほう酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5mg以上
メタけい酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50mg以上
重炭酸そうだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・340mg以上
ラドン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20(百億分の1キュリー単位)以上
ラジウム塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1億分の1mg以上

つまり、温度が25℃以上であれば文句なく「温泉」。
25℃未満でも上記の物質のいずれかが規定の数値以上あれば「温泉」。
温度の条件か、19項目の物質の条件のどちらかが満たせば「温泉」となる。
また、別の言い方をすれば、地中から湧出する温水が25℃以上であれば、上記物質が入っていなくても「温泉」となるのだ。

何か、納得のいかないような部分があるが、これが「温泉法」なのだ。

放射能泉ってカラダにいいの?

2009 年 9 月 14 日 月曜日

「放射能泉」ってカラダにいいの?・・・これって、私の周りでもよく聞かれる質問だ。放射能っていう言葉自体、あまりいいイメージはない。ところが、これがあのキュリー夫人らによる放射能研究以来、温泉についても見直されてきたのだ。

まず、「放射能泉」の定義だが、1㎏中、ラドン(Rn)が30(100億分の1キュリー単位)以上(3ナノキュリー)とされている。そして、色が付いているわけでもなく、香りがするのでもなく、実際見た目ではよく分からない温泉。ところが、この放射能泉が非常にカラダにいいとされる考え方が最近主流となっている。

それは「ホルミシス効果」と呼び、「少量の放射能を浴びる、または吸入することは、身体の抵抗力を増し、逆にプラス効果をもたらす」との考え方。

実際、日本有数の放射能泉の温泉地としてよく紹介される、鳥取の三朝(みささ)温泉は、空気中に漂うラドンが、近隣のエリアから比較すると2倍以上もある。

そして1992年に、ある研究家は、「三朝温泉の住民は、ガンの死亡率が、日本の平均からすると著しく低い」と発表した。今後も研究が続けられる課題だが、非常に興味深い話ではある。

放射能泉(ラジウム泉)は、地下深い岩盤の奥から長い年月をかけて、地表に出てきたものが多い。だから、比較的低温の温泉が多いのも特徴。

藍の宿 木屋旅館(鳥取・三朝温泉)  貸切ラジウム風呂「楽泉の湯」

藍の宿 木屋旅館(鳥取・三朝温泉)  貸切ラジウム風呂「楽泉の湯」

ところが、三朝温泉は、50℃以上の高温で、しかも湯量が豊富ということで、最近さらに注目されるようになった。

その街の中心の温泉本通りに佇む「藍の宿 木屋旅館」は、日本のみならず、海外のお客が多い事でも知られている老舗旅館。その宿のシンボル的お風呂は「楽泉の湯」。湯舟の底が源泉で、ダイレクトに地球の恵みをいただける、希少価値の高い貸切風呂なのだ。もちろん、飲泉もできる。

その他、家族湯、貸切蒸し湯、そして温泉熱を利用したオンドルもあり、バラエティに富んでいる。明治、大正、昭和の時代に造られた趣きある客室もいい。湯治用のリーズナブルな客室もあり、最近若い女性客も増えているという。

藍の宿 木屋旅館/鳥取・三朝温泉

エメラルドグリーンの湯(新潟・月岡温泉)

2009 年 9 月 5 日 土曜日

新潟県・月岡温泉と言えば、温泉ファンなら、その実力をご存知だろう。月岡温泉の泉質は「含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉(弱アルカリ性 低張性 高温泉)」。いわゆる硫黄泉だ。硫黄成分濃度の高さで知られ、その主成分である硫化水素の含有量は日本で一、二を争う(硫化水素イオンが1kg中20~150mg)。ライバルは万座温泉で、源泉によって1kg中250mg(遊離硫化水素)を超えるとも言われている。ちなみに卵が腐ったニオイは、硫化水素が原因となっている。

しかし、数字上では万座温泉より少ない含有量のはずなのだが、月岡温泉は「硫化水素含有量・日本一」と自慢する。硫黄泉は、現在ひとまとめで呼ばれているが、旧泉質名でいえば「硫黄型」と「硫化水素型」と2種類の泉質となり、それぞれ特徴がある。

月岡温泉は「硫黄型」。それは「硫化水素イオン」が主成分で、湯に溶け込み、アルカリ性の湯に多い。万座温泉などの「硫化水素型」は、「遊離硫化水素」が主成分となっており、酸性の湯に多いという。 しかし、万座のような酸性の湯では、遊離硫化水素は、いわゆる“ガス”なので、非常に揮発しやすい。逆に、月岡温泉のアルカリ性の湯では、成分が陰イオンとして湯に入り込み、保持されやすいのだ。また、源泉温度80℃ほどの万座温泉よりも、適温に近い源泉温度50℃ほどの月岡温泉の方が、成分が安定するとも言われている。結果、よりその成分を実感できるのは月岡温泉になるのではないだろうかという論理だ。

硫黄型硫黄泉の温泉の色は、白濁するか、無色透明が一般的。ところが、硫化水素イオンの含有量が多くなると、美しいエメラルドグリーンとなる。

「広瀬館 ひてんの音」殿湯
「広瀬館 ひてんの音」殿湯

その神秘的な湯の色は、まさしく自然の恵み、大地の奇跡とも言えるものだ。ただ、注意すべきは、指輪やアクセサリー類を付けて、湯浴みは決してしないこと。この硫黄泉のパワーは、10円玉に湯をかけると、5分も経たぬうちに黒っぽく変色してしまうからだ。

さらに、月岡温泉は、“美人の湯”として知られている。それは、その条件にあげられる“硫黄泉”と“アルカリ性”と、二つの条件を満たしているから。また、“不老長寿の湯”とも言われており、いわゆる生活習慣病に効くという。硫化水素泉は血管拡張作用が高く、高血圧の治療、あるいは予防効果にもいい。

月岡温泉は、硫黄泉であり、ナトリウム-塩化物温泉でもある。昔の人は塩化物温泉のことを「熱の湯」と呼んでいた。塩分濃度が高いほど、カラダの体温を上げる作用があるのだ。だからこそ、湯冷めがしにくい特性も持つ。

月岡温泉の湯宿「広瀬館 ひてんの音(ね)」では、その極上の温泉をかけ流しの状態で体感できる。硫化水素イオン含有20.7mgの月岡5号井と、113mgの月岡6号井を同時に湯舟に注ぎ込んでいる。温泉雰囲気たっぷりの貸切露天風呂もあり、人気の宿となっている。オーナー料理長である、広川健一さんの人柄が表れた絶品料理は、地元でも評判だ。奥さんである美人女将の存在も忘れてはならない。仲睦まじい夫婦の運営する宿は、温泉もそうだが、宿全体が優しい空気に包まれている。

広瀬館 ひてんの音/新潟県・月岡温泉