‘貸切温泉どっとこむ’ カテゴリーのアーカイブ

私的・ネットのクチコミ論

2012 年 1 月 31 日 火曜日

新年早々2012年1月に入って、人気サイト「食べログ」のやらせクチコミについて、新聞やテレビをはじめ各マスコミが大々的に報道するのを見た。
私から言わせると、「今頃なぜ?」という印象。

「食べログ」に限らず、人気クチコミサイトには、やらせクチコミは容易に投稿できる仕組みとなっている。
アカウントを取得するだけだから、そこに正確性、信ぴょう性を求めるのは、物理的にもおかしい話。

ネットマーケティングと称して、やらせクチコミをビジネスとして実施していたのは、何も飲食店ばかりではない。
日本を代表する大手企業も、やっていた時代があった。
今から10数年前、インターネット黎明期の頃。
人々は、PC関連の商品や化粧品など、実際に使ってみないと分からないものは、様々なネット掲示板を閲覧して、購入する手がかりを探っていた。
大手メーカーもそれに着目し、自分の商品に有利なクチコミを流布させるために、広告代理店に依頼し、いわゆるやらせクチコミをその掲示板に投稿していたのも、事実あった。

ネットのない時代、ネットが普及する直前の頃は、大学生であれば、部員のたくさん束ねているリーダー的存在や、女子高校生であれば、人気ファッション雑誌の読者モデルなどに、新商品を提供し、それを周辺の友人などにPRするように働きかけた。
いわゆるカリスマ性のある人、その世代に影響力のある人に、トレンドを作ってもらおうという考えが、新しいマーケティングの手法として使われていた。

しかし、インターネットが普及するにつれ、トレンドを流布させるインフラが、大きく変わった。
それがネットのクチコミであり、それは驚くべきスピードで情報が広がっていくことに当時は誰もが驚いていた。

今回のやらせクチコミ投稿報道は、私から言わせれば、大きな事件のない時の「暇ネタ」みたいなもので、業界の人間であれば、暗黙の了解的なものだったようにも思える。
私の現在の仕事に関連すれば、宿泊施設に対しても、やらせクチコミの営業をする会社が存在していることは知っていた。

テレビで、大手の宿泊予約サイトでは、実際に予約して宿泊しないとクチコミが投稿できないなどと、解説している事情通?を見かけた。
笑った。
そんなことはない。
じゃらんnetでも、やらせクチコミの投稿など簡単。
宿泊施設もグルになれば、何でもできてしまうからだ。

こんな報道がされる前から、ずっと前から、私は予約サイトなどの、温泉宿のクチコミは信じないほうが無難だと言ってきた。
理由のひとつはこうだ。
年に数回しか行かない、もしくは数年に1回しか行かない人たちの情報は、いわば素人の噂話。
宿の経営者の意図を知らずに、自分だけの今までの知識や経験だけ評論している。
しかも、「ウラ」を取らずに、限定口調で投稿する。

私の主宰している「貸切温泉どっとこむ」は、現在クチコミ情報の募集はしているが、それをそのまま自動的にはアップしていない。
主役はあくまでも、専門家の目で見る、宿の正確な情報であり、どこよりも詳しい宿泊レポートだと思っている。
そのアシストには、とにかくたくさんの画像も用意してある。
それによって、自分の力で、「自分に合う宿」であるかどうか判断してほしいのだ。

それに私は、温泉宿が好きだ。
その宿泊レポートには、愛があると思ってほしい。
単なる大容量の情報だけではない。

今まで、正直に書きすぎて、温泉宿からお叱りを受けたことも多々ある。
特に温泉の使用状況などの情報。
そのまま、書いたら、載せなくてもいいと圧力をかけられた事も。
もちろん、私はそんな宿は載せなくてもいいと思っている。
人気宿に、そんな事が多いのが残念なことだが。

だからこそ「貸切温泉どっとこむ」に掲載している宿は、私の「徹底した情報公開」という取材方針に賛同していただいているところばかり。
しかし、そうでなくなった宿は、どんどん削除していく方針。
そんなサイトがある事を、ぜひ知っていただきたい。

温泉ソムリエ認定セミナー@琢琇

2011 年 11 月 30 日 水曜日

2011年11月23日、勤労感謝の日に、宮城県・鳴子温泉郷の中山平温泉の「名湯秘湯うなぎ湯の宿 琢琇(たくひで)」にて、温泉ソムリエ認定セミナーを行った。
我が「貸切温泉どっとこむ」(温泉コム株式会社)企画のイベントだったが、お陰様で、大盛況で幕を閉じた。

そもそも、このイベントを思い立ったのは、私が昨年、Twitterが縁で、温泉ソムリエ家元の遠間和広君と、なんと25年ぶりぐらいに再会を果たした事に始まる。
お互いの仕事の話をしているうちに、温泉ソムリエのテキストの中で「美肌の湯4大条件」を紹介していると聞き、それは鳴子の「琢琇」なら、すべて揃っている泉質だよね・・・という事になり、さらには、私が「琢琇」の記事を「貸切温泉どっとこむ」で書き、公式HPも我が社が運営している事もあり、トントン拍子に実現へと向かった。

私がまだ20代前半で、東京・渋谷でオフィスを構えて間もない頃、当時学生だった遠間君が、弊社社員と友人だった事もあり、ちょくちょく顔を出していた事が、そもそも、私と彼の最初の出会い。
その頃の私は、販売促進系の広告代理店を経営していた。
それが、25年後に、仕事の中身は違えども、温泉をテーマに仕事をしているところに、運命的なものを感じたのも確か。

私は、20歳前後から温泉に傾倒し、その後、仕事として温泉宿の記事などを書くうちに、いつの間にか温泉そのものに詳しくなり、さらに自然と温泉分析表も読めるようになり、そのデータだけで、どんな特徴の温泉かある程度分かるようになった。
それと同時に、温泉もいっそう好きになっていったような気もする。

温泉ソムリエ認定セミナー@琢琇2011

遠間君が行っている、温泉ソムリエのセミナーの中身は、簡単に紹介すると、温泉の条件から始まり、種類と特徴、入浴法、そして、最後に温泉分析表の読み方まで教えてくれる。
ざっと3時間ほどの授業だが、三部構成にして、分かりやすく、丁寧に教えている姿が印象的だった。

普段、このセミナーは東京など中心に、大都市圏で行っているのが通例らしいが、温泉旅館、しかも東北地区で実施するのは、初めてという事もあり、さらに宮城県鳴子温泉郷といった、お世辞にも交通の便が良くない立地で、よくぞここまで受講者が集まってくれたと少々驚いている。

それも、遠間君が2002年から立ち上げた温泉ソムリエが、新潟県妙高赤倉温泉から全国へ知名度を上げ、取材者やライターなどを数多く輩出し、最近ではタレントや女優まで認定者がいるという人気の高さも大きく貢献しているだろう。

「貸切温泉どっとこむ」や「琢琇」の公式HPなどからの告知も行ったが、受講者がやはり「温泉が好き」という事が、今回のセミナーの成功の背景となっている。
温泉が好きだから、温泉の事をもっとよく知りたい・・・こんな考えを持っている人たちが、数多くいるという事に、改めて私自身、素直に喜びを感じた。

しかし、このイベントを、実現に向けて、大きく私を動かしたのは、皆さんご存知の通り、3月11日の東日本大震災。
この「琢琇」も、建物のあちこちに損傷を受け、名物の混浴露天風呂は湯舟自体にヒビが入り、崖の上の立地という事もあり、今後は壊す方向で考えているとの事。
さらに、数本ある自家源泉の一本が、震災を機にお湯が出なくなったのも、大きな痛手だった。

私自身、福島出身という事もあり、震災後、温泉宿を助けるための行動をしてきたつもりだが、昨年から企画してきたこの温泉ソムリエ認定セミナーの目的としては、東北復興の願いも加わった形となった。

私は「琢琇」の湯を常々、「奇跡の湯」と称している。
前述の通り、美肌の湯の4大条件である・・・
① ツルツルスベスベ肌になる炭酸水素塩泉
② 肌のハリとシワに効果的な硫酸塩泉
③ 美白効果の硫黄泉
④ 肌の角質を溶かす(弱)アルカリ性の温泉
・・・がすべて揃っている泉質であるから。

「琢琇」の主要な源泉の泉質名は、「含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉」。
pHも9を超える。
もちろん、源泉100%かけ流し方式。
初めての人は、トロトロのあんかけのような湯の肌触りに驚くに違いない。
この極上の湯を、この時期に、この場所で、温泉ソムリエセミナーを通して、大きくPRできた意義は大きい。
何よりも、「琢琇」の女将、佐々木久子さんが、大変喜んでくれた事が、こちらとしても嬉しい限り。
ここ鳴子で誕生した温泉ソムリエの皆さんが、これを機に「琢琇」の温泉の素晴らしさを多方面で紹介していただき、そして東北、いや全国の温泉の素晴らしさを、自らの方法で知らしめていただくことを願うばかりである。

名湯秘湯うなぎ湯の宿 琢琇/宮城県・鳴子温泉郷・中山平温泉

「宿選び」と「貸切温泉どっとこむ」

2010 年 9 月 30 日 木曜日

温泉旅行に行こうと決めた時、あなたは何を頼りに「宿選び」をしますか?
現代は、インターネット全盛の時代。
2000年以前は、ガイドブックなど書籍関連からの情報収集が主だったものが、ここ10年は、ネットがその主流となっている。
予約サイトも成熟期を迎え、幅広く宿をラインナップするものから、高級路線の宿だけを集めたもの、逆に大幅値引きを売り物にしているサイトも存在している。
それはいわゆる「宿泊プラン」というものをリリースして、消費者に分かりやすく訴えようとしている。
特典を付けたり、値引きをしてお得感を出してアピールするのだ。

そして、消費者は、「宿選び」から、「宿泊プラン選び」になってしまっている事に気付かない?
まあ、これは極論だが、この時世、宿の「格」や「質」で選ぶより、いかにお得に泊まれるかの「バリュー感」で宿選びをしてしまっている場合が多くなってきたと思う。
ビジネスホテルを予約するのと同じように、温泉宿を予約する傾向が感じられるのだ。
宿側もそれに倣い、営業会議を開いては「宿泊プラン」を考えるのだ。

しかし、それってどうなんだろう?
ふと疑問に思ってしまった。
私は個人的な話をすれば、30代前半までは、書籍関連で宿探しをしていた(ネットがなかったので)。
その頃は温泉評論家や温泉ライターの記事を参考に宿探しをしていたように思う。
そして私が30代後半にネットの時代が訪れ、膨大な情報が即座に受け取れるようになった。
その頃(2000年)に「貸切温泉どっとこむ」もスタートした。

予約サイトのいいところは、料金や、エリアなどで条件別検索ができるところ。
ハード情報も、クチコミ情報もあるので、ある程度目安にしやすい。
しかし、そこになぜか「血の通っていない」冷たさを感じるのは私だけであろうか。
宿の説明文を書いているのも、おおよそ宿の経営者か、営業担当者、もしくはサイト管理者側が、公式HPからコピーを拾うような形で、文章を羅列する。

温泉評論家の書いていた叙情的、もしくは専門的なコメントはそこにはない。
でも、ネット全盛の時代になって、彼ら評論家、ライターを生業としている人たちの書いた記事が「情報量の少なさ」を露呈する事にもなってしまった。
温泉や歴史、文化には詳しいけど、客室のインテリアや料理は語れず、またはマーケティングにはまったく知識がない。・・・とか。
実際、彼らの書く温泉ガイドは、それほどの売り上げを記録していない。
逆に、自分たちの宿を取り上げられたことで、宿側が強制的に(?)仕入れる事になり困っているという話もよく聞く。

そのどちらのいいところをカバーしようとして、私は2007年から「貸切温泉どっとこむ」を、一軒ごと地道に記事を改訂している。
自分でいうのもなんだが、温泉、歴史、文化から、宿泊プラン、そして経営者のエピソードまで網羅している、どこにもない、稀有な存在のサイトなのだ。
しかもネットだから、無料で、いつでも見られる。
宿がリニューアルしたら、すぐに記事を書き改める事ができる。

しかし、その膨大な情報をまとめるのは、いかに大変なことかと改めて実感している。
そして、正直言えば、半分後悔もしている。
この努力が、皆さんに少しでも伝わればいいなと思っているのも確か。
それは温泉LOVE、温泉宿LOVEだからできる事。

こんな、コスト度外視で作っているサイトはどこにもないと自慢(?)できる。
そんな事をどこか心に留めていただき、これからも「貸切温泉どっとこむ」にお付き合い願えればこの上ない幸せなのです。
アナログとデジタルの融合したサイト、それが「貸切温泉どっとこむ」。
ぜひ、「宿選び」の参考資料にしていただきたい。
なにしろ、改訂した記事は、一軒の宿だけで一冊の本が作れるほどの「大容量」なのだから・・・。

■「貸切温泉どっとこむ」http://www.kashikiri-onsen.com/