旅館の鎖国政策

本当に、数年前までは、日本の旅館は、まさに鎖国制作を取っていた。
うわべ上は、海外のお客様も歓迎しますと言っておきながら、それに対応するような、英語表記の看板も、案内も少なかった。

ところが、今や年間の外国人客訪日数2000万人超えも夢ではなくなった。
そんな中、この波に乗って、急激に業績を伸ばしている旅館がある。
そこに共通しているのは、ターゲット層の多国籍化だ。
つまり、日本国内のマーケティングだけでなく、世界中のお客様に対して、プランを組むということである。

日本には四季があり、それぞれのシーズンの繁忙期には、当たり前のように日本人が観光客として押し寄せるが、少し時期がずれると、旅館には閑古鳥が鳴いた。
しかし、世界に目を向けると、例えば、(亜)熱帯エリアの国の人たちは雪に感動し、逆に極寒エリアの国の人たちは、日本の温かさに心躍る。
つまり、今まで閑散期だったシーズンを、海外のお客様をターゲットにする事で、その隙間を埋めてしまえるという事なのだ。

今までは、日本の旅館の売店では、冬の時期は、夏物の衣類は置いてなかった。
逆に、夏の時期には、ダウンジャケットなどは置いてなかった。
しかし、(亜)熱帯エリアの国の人たちは、冬に日本に来ても、自国で着ないダウンジャケットはお土産としては買わない。
極寒エリアの国の人たちは、夏に日本に来ても、夏物衣類よりも、自国で着られるダウンジャケットをお土産として好むだろう。

バブル時期に持てはやされた、お金持ちの代名詞だった錦鯉も、今や日本の商圏は縮小するばかりらしいが、西アジア、ヨーロッパでは、大ブームらしい。

これは一例だが、ターゲットを世界中に拡げると、在庫処分どころか、売上げが大幅にアップできるという事がお分かりになるだろう。

先日、紅葉の撮影のために、九州に出向いた。
紅葉のシーズン真っ盛りだったので、いつも利用している旅館は満室で部屋が取れない。
仕方なく、楽天トラベルや、じゃらんnetで調べると、トップシーズンでありながら、ビジネスプランと称して、激安の宿泊プランを見つけることができた。
いざ、泊まってみると、外国人が喜びそうな、昭和の香りのする和風建築で、温泉もいい。
しかし、お客はすべて日本人のご年配の方ばかりだった。
女将に聞くと、「うちは今までもこれからも日本人客だけでやっていきます。(外国人客を入れると)常連客の方に申し訳ないから。」
こちらの女将は、お風呂のマナーも分からないひと昔前の外国人客への偏見もあるようだが、人それぞれの考え方もあるし、私も否定はしない。
しかし、経営的にいつまでやっていけるのか、疑問には思う。
時代の流れ・・・と簡単に言うが、これに乗り遅れると、とばっちりをくうのは、旅館経営者本人なのである。

日本人だけというより、日本人のみにターゲットを絞った旅館経営は、それはそれで、ひとつの個性であり、ウリでもある。
だが、古くからの常連客の話ばかり聞いているだけでは不安だ。
客は、宿が潰れても、何も保証してくれない。