「差別化」の実践

2014年の景気予想は、経済評論家の間で真っ二つに分かれている。

このまま、アベノミクス効果で、株価上昇気運と比例して好調が続く見方と、消費税アップによって失速するという見方だ。

もちろん、私としては前者の方を望んでいるが、こればかりはどうなるか分からない。

 

しかし、世の中には、景気の動向に関係なく、好調を維持している会社が数多く存在する。

そういった強い会社には、他社には無い「個性」を持っているところが多い。

つまり、「差別化」がされているという事なのだ。

 

旅館ホテル業界で考えてみる。

大手予約サイトを見ると、数多くの宿泊プランで売り出しているが、どれもどこかで見たようなものばっかり。

料理の献立を前面に出すものから、特典を付けるものなど、似たり寄ったりだ。

要するに、とんがったものがないのだ。

 

日本人は、おとなしい気質のせいか、あまり突出したもの、常識外のものを遠慮する節がある。

すぐに無難な安全策を選択する。

旅館ホテルの経営者向けの集客セミナーに参加した社長さんらに聞くと、講師から「他にはない個性を創出しよう」「差別化を図ろう」と教えられるが、実際、宿に帰って実行しようとすると、すぐに結果が出ないと諦めてしまう。

もしくは、周囲の反対を受けて、とん挫する事もあるという。

結果、今まで通りのやり方に戻ってしまう。

これでは、いつまで経っても、前に進まない。

 

絶景に建つロケーション、豊富な湯量と抜群の泉質の温泉・・・など、元々「個性」を持っている宿はその点、恵まれている。

そこに、もうひとつの、2つ目の「個性」を強くすれば、本当に強い宿ができあがる。

 

しかし、大多数の宿が、その恵まれた「個性」がないから苦労している。

だからこそ、経営者には、「差別化」を強く推し進める、強い気持ちが必要なのだ。

 

地方には、交通アクセスが悪くても、全国から人が集まってくる繁盛店がいくつかある。

福井県の山間部、坂井市にある、「竹田の油揚げ 谷口屋」。

その巨大で、独特の食感を持つ油揚げを求めて、駐車場は、他県のナンバーばかり。

滋賀県長浜市の「つるやパン」は、名物おばあちゃんが考案した「サラダパン」が大人気。

コッペパンに、細かく刻んだ“たくあん”とマヨネーズの絶妙な味わいが異次元の味わい。

群馬県桐生市の「ふる川」では、超幅広の“ひもかわ(うどん)”を食べに、店先は常に行列を作っている。ここでは、うどんを一本二本と数えるのではなく、一枚二枚と数えるらしい。

 

しかし、これらのお店には、奇をてらっただけではない、その商品開発までの「ストーリー」に、客が心を動かされ、ファンになっていく。

そして、商品だけでなく、そこでお店を切り盛りする人たちにも、心を奪われていく。

それが、リピーター客となり、固定客となる。

 

客は、モノだけでない、ココロがあるものを求めている。

感動があるものを、欲している。

圧倒的な「差別化」の中には、必ず「ストーリー」が内包されているものだ。

それを顧客に発信できれば、強い会社、超が付くほどの人気旅館ホテルが生まれるのだ。