宿泊料金の市場価格

最近、ヤフオクを始めてみた。

皆さんご存知の、インターネット上でオークションに参加できるシステムだ。

前から興味があったが、タイミングを逸し、今頃になってチャレンジした。

 

最初は、出品から。

周りから、「新規」アカウントは信用されないから、売れませんよと揶揄された。

実際そうだった。

 

そこは、負けず嫌いの私。

逆に、「新規」を売り物にして、誠実さをアピールした。

餅は餅屋で、キャッチコピーから、説明文、そして画像を考えて設置したら、すぐに売れるようになった。

私より、いい条件の商品を持っている出品者は数多かったが、あまりにも横柄な説明文、大ざっぱな解説、そして画像を出さない事で、いっこうに入札が増えない様子もたくさん見た。

(武士の商法ってやつね)

 

その後は、逆に、ある商品を落札してみた。

出品者と落札者を両方経験した事で、売る立場と買う立場の心理がよく分かり、改めて勉強になった。

そこには、間違いなく「商売の原点」が存在した。

 

そんなある日、ある旅館さんから、「最近、お客さんの予約が増えていない」と泣きの連絡が入る。

要は、週末は客が入るけど、平日が散々という状況。

どこにでも、よくある事だが・・・。

 

しかし、ヤフオクをやってみると、そこには如実に、「マーケットの原理」が存在する。

つまり、売り手市場か、買い手市場なのかという事だ。

週末のヤフオクは、閲覧者が多く、出品すると入札金額もうなぎ上り。

平日は、閲覧者が少なく、ゆったりとした入札の動きで、思ったほど値が上がらない。

 

同じく、宿側にとって、週末は売り手市場。

週末の割り増し料金を付けても、満室になる。

ところが、平日は宿側からすれば、完全な買い手市場。

いくら特典をつけても、値引きをしても、満室にはしにくい。

 

考えてみれば、シティホテルなどは、宿泊料金表があってないようなイメージ。

日によって、料金が目まぐるしく変わる。

 

逆に、温泉旅館は、「宿泊プラン」という売り方で、いかにたくさん予約を取ろうと考えている。

しかし、実情は、平日の空室は埋まっていない。

 

当たり前といえば、当たり前。

平日に休みが取れる人は少なく、しかも平日は、一週間7日間のうち6日もあるのだから当たり前。

 

だからこそ、オークションの原理を少し採用してもいいだろうと思う。

損益を1日単位でみるのではなく、1年単位でみる。

まあ、通常、決算書は1年ごとだから、この考えは的を射ている。

 

そこで、重要なのは、宿泊料金表。

実際、最近の旅館のホームページを見ると、これが掲載されていない場合が多い。

私は、これが一番重要だと思う。

 

標準料金という目安が無ければ、いかに「お得感」を出している宿泊プランでも、お客には本当の意味での「お得感」は残念ながら伝わってこない。

クルマを購入する際、注文書にサインするのは、結局、標準小売価格からどれだけ値引きしてくれてかによって決める・・・にも似ている。

つまり、「行く気はなかったけれど、温泉には入りたかったから、この料金なら泊まってみるか」・・・という心理を作りだすことが、大事なのだ。

 

もちろん、平日でも紅葉の時期など、少し高めの設定でもいいし、雪のない初冬の頃は、思い切って割安にするなどの変化を付けるということ。

 

しょせん、旅行することは、生活必需ではないと、働くのが好きな日本人のほとんどは思っている。

だからこそ、「今ならこんなに安いから」という、(旅行する)「言い訳」をお客に教えてあげるのも必要なのだ。

 

ここで、気を付けなければならないのは、宿のブランドイメージ。

安易に安くしているというイメージは、客に人気が無いとも、思われてしまう。

だからこそ、ホームページ上で、「当館は、季節ごと、月ごと、日にちごとに宿泊料金が変わります。あらかじめご理解のうえ、ご予約してください」とすれば、全然、受け取られ方が違ってくる。

 

ある旅館のオーナーが言っていた事を思い出した。

週末は常連客が多い。そしてお正月は、例年同じお客さんが泊まる・・・と。

これは、新規のお客が泊まりたくても泊まれない状況を作っているという事。

週末やお正月は、割り増し料金があっても、それでも、予約が多いという事は、もっと値上げをしてもいいという「天の声」。

週末は3万円ですが、今週の平日は1万2000円です・・・なんて事でもいい。

「そうしたら、常連のお客に怒られる」という経営者も多い。

私の考えは、繁忙期のお馴染み客は、宿にとっての優良顧客ではない。

馴染みだからという「利権」を使っての、予約の「独占者」に過ぎない。

それと、宿がつぶれても、常連客は何も手助けなんてしてくれません。

しょせんは赤の他人なんです(きっぱり)。

 

週末に新規客が増えて、平日に常連の連泊客が多い。

これって、ある意味、宿にとって理想形かもしれない。

それを目指しましょうよ。私の愛する温泉旅館たち。

本当の理想は、平日も週末も同料金で、いつも満室というのがそうでしょうけど・・・。