温泉宿におけるサブキャラの重要性

ここでいうサブキャラは、サブキャラクターという意味で使わしていただく。

しかし、似た言葉で、サブカルチャーというのがある。
メインカルチャーに位置づけされる、学問、絵画、音楽などと区分けする意味で使う。
日本国内の事で言えば、1990年代以降に注目されている漫画、アニメを、サブカルチャーの代表とする考え方がある。

実際、海外に出かけてみると、日本の漫画、アニメの知名度は、想像以上に高いのに驚く。
多数のコミック本が、その国の言葉で翻訳され出回り、アニメも母国語に吹き替えられて、テレビで放送されている。
世界の人々からすれば、それもニッポンのキャラクターのひとつと認識されていった。
欧米をはじめ、世界中の大きな会場で開催されている、漫画・アニメ関連のイベントは、年を追うごとに大盛況だと聞いている。
いまや日本は、クルマや電化製品などのハイテク企業のイメージばかりではないのだ。

さて、ここで、国内の、しかも温泉宿の話に戻そう。
温泉宿のメインキャラ(クター)は、温泉(風呂)であり、料理、そして客室など。
宿の公式ホームページ(HP)を見ても、温泉や料理、もしくは客室の良さを強調するものばかり。
腕のいいカメラマンに、できるだけ印象の残る写真を撮ってもらい、それをWEBデザイナーが、さらに補正を施し、現物以上に良く見せる。

しかし、こういった手法だけでは限界が来ている。
温泉がよくて、料理がおいしいのは、客にとって、当たり前とされているから。
クルマの広告で「このクルマは、まっすぐ走って、ブレーキを踏めば、よく止まります。」というようなもの。
温泉が毎分1000リットル以上も出て、泉質も抜群で、色も付いていたり、最高級、もしくは珍しい食材を使いながら、驚くような低価格というなら別だが・・・。

要するに、ポテンシャルのわずかな優劣があるにしろ、メインキャラである温泉や料理を声高らかに自慢しようが、他との旅館との比較がしにくく、思ったほど効果は少ないということ。
ほとんどの温泉宿が、それを「ウリ」にしているが、客は、それは「当たり前」と見ているからだ。

そこで、重要視しなければならないのは、メインキャラならぬ、サブキャラ。
温泉宿のサブキャラとは何か。
例えば、鉄道マニア向けに、本格的なNゲージの鉄道模型がジオラマとして展示されていたり、天体マニア向けに、本格的な天体望遠鏡で星空観測をしたりなど。
そば道場や、料理教室、手芸などの体験型の企画もそうだ。
名物女将によるお客参加型のイベントもそうだろう。

例を挙げればきりがないが、こういったサブキャラを上手にPRしている温泉宿は、常連客も多く、平日の客室稼働率も高い。
常連客が多いということは、その客がその宿のキャラに惚れ込み、その宿に行くことが日常化されているという事。

もちろん、そこにはメインキャラである温泉や料理もあるからだろうが、そもそもお客の中には、メインよりもサブキャラ重視の傾向が強いような気がする。

旅をする三要素とは、「お金」、「時間(ヒマ)」そして「モチベーション」と言われるが、その中でも一番重要と思われる「モチベーション」は、サブキャラに関連している場合が多い。

人気のテレビドラマや映画のロケ地に行きたい・・・と思って宿を探すのも、その一例。
これも立派な(宿の)サブキャラのひとつとして考える事もできるのだ。

場合によっては、個性豊かで魅力的なサブキャラ(=脇役)が、メインキャラ(=主役)を、くってしまう映画やドラマがある。
そんな映画やドラマのほとんどが、大ヒットしている事実を見逃してはならない。