ホテル旅館業界の一部のクリエイティブ軽視

今、世界は、ITなくしては、動かない環境になっている事は明白な事実。
そして、ソフト産業の社会的地位も、ここ数年上がってきたと思う。
私が、長年働いている広告業界も、企画、デザインはじめ、クリエイティブ部門の評価、地位も向上してきたと思う。

ところが、私の現在携わる、ホテル旅館業界には、旧態依然の考え方が一部残っているのが気になるところ。

一年前、ある旅館を訪問した際、建築業者の設計したロビーと露天風呂の改装案の図面を見せられた。
ロビーには、カーペット、壁紙の張替えはもちろん、天井に古材を使った梁をあしらったモダンな印象にしようとし、露天風呂には新たに庭を作り、眺めを良くしようとした。
業者の見積もりは、合わせて2000万円ほどだと聞いた。

その旅館社長に、意見を求められ、私はこう答えた。
「それで、お客さんは来てくれますか?」と。

お客は、よく来る人でも年に3~4回。
ほとんどのお客は一度しか訪れない。
リピーター客になったとしても、数年後の可能性も高い。

要するに、私はそれだけ費用をかけて「元が取れるか」を考えたわけだ。

もちろん、財政的に余裕にある旅館だったら、何も言わない。
でも、その旅館は、そうではなかった。

私は、その改装案の図面を見せられる半年前に、その宿に数十万円の費用で、公式ホームページ(HP)のリニューアルを提案していた。
しかし、当時は予算がないという事で、保留ということになった。

その社長曰く、「建物は自分で見られるから分かるけど、HPはよく分からない」との事。

つまり、リアルな建築物は見えるけど、バーチャルなHPのようなものは見えない、分からないからお金の価値、つぎ込む費用の大きさが分からないという事なのだ。

その社長のご年齢は60歳超。
分からなければ、部下に聞いていただきたいが、やはりオーナー社長ゆえ、自分の考えが一番との思いもある。

私は、おかげさまで、クリエイティビティに理解してくれる旅館経営者を、たくさん面識がある。
そして、私の提案を受け入れ、旅館にとって一番大事な、売り上げ向上の貢献をしてきた。
理解している旅館は、たいがい、業績はいい。

ここでいう、クリエイティビティとは、集客のための企画立案から、マーケティング、HPデザイン、予約システムの最適化まで、販促全般を考える事である。

しかし残念ながら、前述のような、古い考え方をお持ちの社長も多くいらっしゃる事も事実。

それは、クリエイティブ全般のこと、つまりハードではないソフト分野に関しては、建築資材のような元手がかかっていない、原材料費がないとの理由なのか、どれだけ費用をかけるのか、相場がわからないというわけだ。

私は、twitterをやっていて、フォローしてくれる人の中で「ITコンサルタント」的な仕事の方が何人かいる。
その方のHPなどを拝見すると、私では考えられない破格値で商売している人がいる。

例えば、たった5~10万円で、HPを作りますとか。
それは、同じプラットフォームのデザインの中で、必要事項を入力し、画像をはめこむだけのもの。

それは、私の中では、純粋なクリエイティビティとは言わないし、実際そういった業者(個人)は、低料金だけがウリなので、自然に淘汰されるのがオチだろうと推測する。

でも、こういった価格破壊的な業者がいることで、前述の「HPの事は分からない社長」がいらっしゃるというのも事実。

なんとかならないかと考える日々。
早く、ホテル旅館業界も、他の業界にように、クリエイティブに対して、もっと重要視してほしい。
軽視しているから、いつまでたっても、「じゃらんnet」「楽天トラベル」依存体質から抜け出せないのだ。