宿の直接予約推進にTSUTAYA?

2月26日(土)発行の観光経済新聞にこんな記事が載った。・・・

DVDレンタル店やコンビニ、ガソリンスタンドなど異なる業種の店舗でポイントが貯まり、使えるTポイント。
国際観光旅館連盟(佐藤義正会長、1182会員)は、会員旅館がTポイントを宿泊プランの直販に活用できるように「Tトラベル」への参加を支援することにした。
年間利用料金の一部などを国観連が負担。大手宿泊予約サイトが相次ぎ手数料率を引き上げる中、販売手数料がかからないTポイントの活用を直販強化策の1つとして検討してもらう考えだ。
Tポイントは、DVDレンタル店のツタヤなどを展開しているカルチュア・コンビニエンス・クラブが管理運営するサービス。
ポイントが付くTカードを持つ会員数は3650万人、ポイントを共有する提携先は69社115ブランド、約3万5千店舗に及ぶ。
Tトラベルは、Tポイントを活用した旅行関連サービスを提供。
国観連は18日、Tトラベルのサイト運営、営業を支援している旅キャピタル(東京都港区)と提携したと発表した。
会員旅館はTトラベルへの参加で、Tポイントの加盟店の権利を得ることができる。
旅館にとってTトラベル参加の最大の利点は、販売を依存することなく、直販の拡大に生かせること。
直販する宿泊プランにTポイントを自由に設定できるようになり、例えば、平日限定のプランや特別なプランだけにポイントを付与することも可能。
100円に対して1ポイントの付与率をキャンペーンなどに応じて2倍、3倍などにも変更できる。
カード決済、現金払いどちらでもポイントを付与できる。
Tトラベルの宿泊予約サイトに宿泊プランを掲載することもできる。
他の宿泊予約専業サイト(ネットエージェント)と異なり、サイト経由で送客を受けても販売手数料は発生しない。
旅館の公式ホームページや電話番号も併せて掲載できるため、自館サイトなどへの誘導にも活用できる。
旅館が負担する費用は、年間利用料金などのほか、ポイント付与の実費。
ポイント付与の実費は直販でも、Tトラベルサイト経由の販売でも生じるもので、例えば、宿泊料金1万円の利用者にポイント2%を付けた場合、2%分の200円とデータ通信料の1%分の100円、合わせて300円の負担となる。
国観連は3月31日までに参加を申し込む会員旅館に対して費用の一部を負担する。加盟料金は通常5万2500円が無料に、年間利用料金は15万1200円が12万6千円になる。
別途、初期費用として端末導入に8万4千円がかかる。
国観連がTポイントの活用を探る背景には、ポイントサービスをめぐる大手宿泊予約サイトの顧客の囲い込み競争の激化がある。
ポイントプログラムの強化に向け、じゃらんnetと一休ドットコムは4月から実質的に手数料率を引き上げることを決めている。
多くの旅館は稼働率の低下、宿泊単価の低迷など、厳しい販売環境を強いられている。
宿泊予約サイトや旅行会社に支払う手数料の負担感は増大しており、宿泊客の満足度の向上と併せ、直販比率のアップが経営課題となっている。
国観連の小関政男専務理事は「旅館の直販を支援したい。手数料負担の軽減に加え、新規客・リピート客獲得の選択肢の1つとしてTトラベルへの参加を検討してほしい」と話す。同時に、国観連は旅館の販売力を強化するため、客室流通の構造改善に向けた自主事業の具体化も進めたいとしている。
・・・というのが記事の内容。

最近では、Tポイントは、DVDレンタル以外でも、ガソリンを入れたり、ファミリーマートで買い物をしたりしても、ポイントが付くシステムになっているのは、皆さんご存知の通り。
これを旅館の宿泊料金に付けようというのが、今回の記事なんです。

普通に考えても、何も特典が付かないよりも、Tポイントが付くことは、お客にとっては魅力的ではある。
でも、通常のTポイントの付与率は1%。
つまり、じゃらんnetの5%ポイント付与より、数字上では負けてしまう。
ただ、じゃらんnetのポイントを全部消化することは難しく、完全にポイントを消化している会員は20%にも満たないとも言われている。
反対にTポイントは、前述のように、レンタルDVDやコンビニでも使用することができ、汎用性が高いサービスではある。

Tポイントの付与率は、宿側によって2~3%とか数字を上げることはできるという事だが、それはそのまま宿側の負担となってしまう。
結局は、じゃらんnetなどのエージェント経由でも手数料(4月から10%)が発生するし、直販のためのTポイント導入にしても、手数料がかかる。
どちらにしても、宿側としては、今まで以上に集客のためのコストが増大するということなのだ。

私は、どちらをお勧めするかと聞かれれば、答えはどちらもNO。
まず、じゃらんnetなどネットエージェントに依存するのは、以前から言っているから省くとして、Tポイントもなぜ反対かと聞かれれば、理由はこうだ。

TSUTAYAの正体を知っているからだ。
「正体」と言ったら大げさだが、そのTポイントを運営しているのは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ。
HPで会社概要などを見ると、事業内容が、いろいろ列記されているが、肝心要の項目が見当たらない。
後ろめたいのか、カッコ悪いのか、分からないが、その業務が書いていない。

その業務とは、ズバリ「名簿屋」。
ツタヤを運営しているカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の実態は、その会員の個人情報を大手企業などに販売しているのを皆さんご存知だろうか?

私は広告代理店を経営している。
以前、ある日用品メーカーのミーティング室で、CCCの営業の人と同席したことがある。
私がその企業のヘアケア剤のホームページを運営していて、メーカー担当が、CCCの名簿によって、首都圏在住の若い女性を抽出し、ヘアケア剤のサンプルを送ろうとしたわけだ。
その時に、様々な職業や、性別、年齢などによって名簿単価の相場などを聞いた。
年収の高い人や、医師などは、相当高い金額で販売できると言っていた。

私が、宿の公式HPの予約ページに入れるじゃらんnetの予約システム(じゃらんホームページダイレクト)を反対している主な理由は、その会員の個人情報はもちろん、その人が、どの宿に、どのようなプランで宿泊したかの情報が、リクルート社にもたらされるから。
それを利用して、営業マンは、別の宿へ資料に書き換え、アプローチする。

同じように、Tポイントの会員の消費行動が、宿からもらうポイントによって、CCCに情報がもたらされる事になる。
要は、個人情報がリクルート社に行くか、CCCに行くかということ。
CCCにそのお客の情報が行けば、かなり高い確率で、その会員に似たような旅館ホテルの案内やツアーの紹介DMが送られてくるだろう。

TSUTAYAとは、レンタルDVDを使った名簿集めの会社というのが私の実感。
そういえば、最近、大学生の息子に携帯電話会社のauのDMが、CCCによって送られてきた。
息子はドコモのユーザー。
この春にauに乗り換えれば、キャッシュバックなど特典がもらえるなどの内容だった。

とにかく、今回の国観連のCCCとの提携は、何か危うい影を感じる。
どこまで国観連が、CCCの事を理解しているか、機会があれば聞いてみたい。

しかし、宿泊施設側にとって大変な時代になった。
エージェント依存でも、脱エージェントでも、手数料やポイント分負担で、宿泊料金を値上げしないとコストを賄えなくなるからだ。

でも考えてみれば、エージェントに頼まず、独自路線で集客を順調にしている宿は実際に存在する。
他にはないマネのできない個性というポテンシャルがあり、きめ細かいサービスを持っているところは強い。
魅力があれば、多少高くても人はお金を使う。
そうじゃなければ、経営破たんした宿を安く買い取り、超破格値で営業している旅館グループなどのような生き方しかない。

でも、安売り宿には、もうそれ以上の武器はない。
安売りは、最終手段だからだ。
だからこそ、値段を下げる前に、自らの宿の個性を見直すべし。

最近の「貸切温泉どっとこむ」の取材では、それを見つけるのも仕事のひとつと考えている。
それが脱エージェントの一歩でもあるからだ。