日本の中の「海外旅行」

もう今日で7月も終わり。学生さんたちは「夏休み」の真っ最中だ。
テレビでも成田から海外に飛び出す旅行者のインタビューを流していた。
景気も少し上向きなのか、昨年と比べても海外旅行、国内旅行ともども増加傾向だという。
円高のこの時期、ヨーロッパやハワイが人気らしいが、お金はあるけど日程的にも余裕がない人はいるはずだ。
そこで、今回は国内にいながら「海外旅行気分」を味わえる宿を紹介しようと思う。

まずは、能登半島の突端にある「ランプの宿」。
ランプといっても、今は電気は通り、ランプはインテリアとして使われている程度。
ここのロケーションがまず「非日常」の世界。
崖下の入り江に、へばりつくように敷地ギリギリまで建てられた宿は、夜になると神秘的な情景が広がる。
離れの客室棟や、貸切露天風呂棟の下にはプールがあり、夜になるとそれをブルーにライトアップしている。オーナーいわく「ボラボラ島の水上コテージのイメージ」らしい。
ここは国立公園の中。海に直接建てられないので、その海に面しているところにプールを造ったわけだ。
しかし、こっちの海の風景は少しワイルド。日本海の荒々しい波が岩礁にうちつけられ、その波しぶきがこちらに飛び散ってくるかのような近さを感じる。
この無国籍的な風景は、訪れるゲストを驚かし、深く印象を刻むこととなる。
石川県の金沢市からでもクルマで3時間以上はかかるほどのロケーションだが、ここに辿り着いた時は一種の達成感を覚えてしまう。

ロケーションといえば、ここも非常にインパクトがある。九州・天草にある「石山離宮 五足のくつ」だ。
オーナーは世界中を旅した経験を持つ。その彼が生まれ育った天草に帰り、自ら造った宿がこれなのだ。
「天草」=「キリスト教」=「隠れキリシタン」=「殉教者」・・・と、苦く切ない歴史が残っている地でもある。そのストーリーをコンセプトに入れて、このエモーショナルなホテルを造り上げたのだ。
さらにこの小さなホテルを印象付けているのはそのロケーション。
海に面した山の斜面を削って建物を建てたので、部屋からは東シナ海を見下ろすような感じ。それはイタリア・ナポリより南へ数十キロ離れた岬の岩肌にへばりつくように建てられたホテル「イル・サンピエトロ・ディ・ポジターノ」をイメージしているという。
しかし、そのイタリアのホテルと決定的に違うのは「源泉かけ流しの客室露天風呂」が「五足のくつ」に付帯している点。

最後は、やはり九州・鹿児島の霧島温泉郷近くにある「天空の森」。
東京ドーム13個分の敷地にゲスト用の施設は5棟しかないのだ。客室に泊まると言うよりも、山をひとつ貸切するという感覚に近い。
広い芝生の中庭があり、木造のコテージが配されている。広いウッドテラスには、「源泉かけ流しの客室露天風呂」が用意されている。
ここを利用するゲストは、気候の暖かい時期は滞在中素っ裸で過ごす事が多いという。
だからこそオーナーはここを「アダムとイヴの楽園」と形容した。誰にも邪魔されず、誰にも干渉されない「極上の空間」がそこにあるのだ。
「天空の森」は上記2つと比べるとアクセスは恵まれている。
鹿児島空港からクルマで20分ほどの距離だからだ。4時間、6時間、そして10時間の日帰りステイを楽しむ東京在住のお客が多いという。なるほど仕事に忙しい人間はなかなか日本を離れられない。でも少しの時間でも有効利用して気分的にもリセットしたい・・・そんな風に使われているようだ。
ただ、ここ「天空の森」だけは、どの国のどのホテルのイメージとは例えられない。
まず、これほど経済効率の悪い宿泊施設は無いからだ。
オーナーは名宿「忘れの里 雅叙苑」で、客室露天風呂を発明し、茅葺きの古民家移築、岩をくりぬいた湯舟・・・など数々のアイディアを出し、それを様々な旅館経営者に模倣された。
「今度は誰にも真似されないものを造ろう」と考えたわけだ。

いかがだろうか。これら3ヶ所とも個性溢れる施設であることは疑う余地はないが、共通しているのは食事。「食」に関しては地元の文化・風習を大事にした「地産地消」をテーマにしている点。やはり日本人は日本の食事が一番美味しく感じるはず。あなたも海外旅行先で食事で悩まれたことはないだろうか。この3軒の施設に関してはそれは心配ないということなのだ。

ランプの宿/石川県
石山離宮 五足のくつ/熊本県
天空の森/鹿児島県