これいいのか・・・旅行代理店の餌食になっている日本旅館

今日の産経新聞に次のような記事が載った。

「JTBが店舗の大幅削減を検討  旅行需要低迷で」

記事によると・・・旅行業最大手のJTBが国内店舗の大幅削減を検討していることが26日分かった。平成23年度中に全店舗の約2割に当たる200店舗程度を削減する可能性がある。一方で、コストの安いインターネットを通じた商品展開を強化する。景気低迷を背景に旅行業界も売り上げが激減しており、店頭販売からネット販売に軸足を移すことで、コストを大幅に削減する。
JTBは、グループ全体で、法人向けも含め国内に約940店舗を運営している。具体的な店舗閉鎖数は今後、具体的に詰めるが、不採算店舗を中心にリストラを実施する方向で検討している。閉鎖店の従業員の雇用は主に配置転換で維持する方針だが、削減店舗数の規模によっては、人員削減を進める可能性も高い。
一方で同社は、コストの安いネットによる販売展開を強化。現行で全取り扱高の7%程度を占めるネット販売の比率を。23年度には12%まで引き上げる計画だ。
・・・とある。

じゃらんネット、楽天トラベル、一休ドットコムなどに代表されるネットエージェントと呼ばれる21世紀型・旅行代理店が、どんどん顧客を獲得しているなか、JTB、近ツー、日旅などのリアル店舗を持つ代理店が、どこまで踏ん張れるか注目していたが、この不景気が後押ししたようだ。

もちろん、JTBもネットによる予約に力を入れているが、さらに資金をそこに集中しようとする考えなのだろう。
F1を撤退し、成長分野であるエコカー開発に人材と資金を注入したホンダと同じだ。

これにより、私がこよなく愛する日本旅館には、さらに向かい風が吹くことになるだろう。
ネット予約に力を入れるということは、そのアイテムのひとつ、「リスティング広告」を強化するという事でもある。
つまりこれは「検索連動型広告」。
ヤフーやグーグルなどで検索した場合、検索結果ページの上部と右側に関連するネット広告が表示される仕組みだ。

「草津温泉」「別府温泉」などのキーワード広告ならまだいい。
例えば、「草津温泉での旅館探しならJTBへ」・・・となり、JTBの掲載宿リストにとぶカタチならまだいい。
ところが、JTBは、「○○旅館の予約ならJTBへ」・・・と、旅館名の実名、つまり宿の商標を使って広告をうっているのだ。

これは今まで常連だったお客を横取りしかねない状況も容易に想像できる。
エージェント(旅行代理店)経由の予約には、ポイントが付く。
直接旅館に予約すれば、当たり前だがポイントが付かない。
客の立場からすれば、同じ料金ならポイントが付いた方がトクという考えから、エージェント経由の予約が最近増加傾向なのだ。

これにより、旅館の財務体質も弱体化する。
宿にも多少違いがあるが、じゃらんで8%、JTBで15~20%の手数料(売り上げに対する)を、旅館はエージェントに支払わなければならない。
ただでさえ、利益率の少ない産業にも関わらず、この高額な手数料は、全国の旅館ホテルの経営環境を悪化させている。

なぜ、私はこのリスティング広告に注目する理由はもうひとつ。
私はインターネット関連の会社である関係上、いくつかの旅館の公式ホームページを手がけることになった。
アクセス解析をしてみて驚いたのが、なんと【90%以上が宿名で検索】という事実!

つまり、エージェントが【宿名でリスティング広告をうつ】ということは、彼らにとっては理にかなっていると言う事。
宿側からすれば【直接予約をしてくれるお客を横取り】されているようなもの。
だから私はこれを【待ち伏せ広告】と呼んでいる。

JTBは、じゃらんネットと比べると、宿が払う手数料は一見高いように見えるが、JTBなどリアル店舗を運営してきたエージェントには、それなりの理由があった。
それはパンフレットの作成や、街興し的なイベントに協賛など、有形無形に温泉地に、観光地に貢献してきた。
しかし、じゃらんネットや楽天トラベルは、あまりそういう話は聞かない。
特にじゃらんネットを運営しているリクルート社は、情報誌じゃらんも発行している。
もちろん、こちらにも掲載料がかかる。
まさに、私には旅館業界の悲鳴が聞こえるのだ。

だからこそ、私の活動意義がある。
機会があれば、その活動の一環をご紹介させていただく予定だ。

今回は旅館側の目線で書かせてもらった。
私は旅館の経営者ではない。しかし、私は現在2つの会社を経営している。
私自身、20年以上会社を経営していて、この旅館業界の古くからある慣習的なものが、現在の旅館経営者を苦しめているような気がする。

今から10年ちょっと前までは、インターネットなど一部の人間しか知らなかった。
旅館を予約するとすれば、例えば最寄のJTBの店舗に行って、スタッフに相談しながら宿を選択して予約してもらう。そこで手数料が発生する。
街の賃貸の不動産屋さんと同じだ。
ところが、今は、宿探しでリアルの店舗に探しに行かなくなった。
ネットで探すようになった。
だから、ちょっと旅館よりインターネットに詳しいエージェントが、ネット広告を出した。
それを今度は、宿名でネット広告を出した。
結果、ネット予約のお客を取り込むことができた。
ところが、この流れ【お客を横取りされている事】をまったく知らない、理解できない旅館経営者が本当に多いという事が、私の一番の心配事なのである。

「これいいのか・・・旅行代理店の餌食になっている日本旅館」への1件のフィードバック

  1. ブログ記事を拝見しまして 旅行や宿という視点ではなく 地方の町つくりという観点からコメントします。 私は町つくりNPOの活動に多少足を突っ込んでいまして、地域の公園作りや町の活性化事業に参加してきたのですが、
    大竹 氏も当然ご存知だと思いますが 数年前 愛知県の吉良町で温泉の源泉偽証問題が話題になりました。 名湯と言われる 長野の白骨温泉の入浴剤問題も同時期で温泉の質が問われた時期でもありましたが、その後吉良町は改めて 源泉を堀り今ではとりあえず 温泉の名前を残しておりますが、この吉良町にある リンクスという最大級のリゾート温泉施設は 今もって 他の温泉地からタンクローリーで湯を運び込み営業しています。
     今回のコメントは、温泉そのものの批判ではなく 温泉街地域としての町の有り方です。 吉良町や周辺の幡豆町はかって三河湾に面した海の町として多くの観光客を呼んでいました。 しかしながら レジャーの多様化の中で大きな資産であるはずの海という資産の生かし方が無く 昭和の時代の海水浴客なども含めた観光客は大きく減少しています。
     団体客も以前は名古屋などからの慰安旅行の目的地の一つでもあったのですが 慰安旅行など企業旅行そのものの減少によって 需要は少なくなっています。 
     そうしたなかで感じられるのは 地方の温泉街や観光地が個人旅行者を受け入れる魅力の創造に手をつけていない点です。 ブログで語られる Netによる旅館やホテルの予約サイトも 基本的には従来の団体バスなどの旅行ではなく 個人で宿を予約してプランニングをするという個人旅行に大きく視点を移している点です。
     団体旅行では 観光会社が温泉や宿に含め 観光ルートも定めそれこそ たとえば 2泊3日 29800円といった価格設定の中で旅館経営の首を絞めていたように思うのですが、これからの地方の観光地の活性化のポイントは これまでの観光会社が企画した観光ルートを逆手に取る、地方自らが生み出す観光ルートの提供ではないかと思います。
     海の宿なら レンタルボートやバーベキュー用品や釣り用品を貸し出してくれたり、山の宿であればレンタサイクルや、地元の農家とジョイントしたいも掘り体験などアイデア次第でいろいろな策が考えられます。

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