最近のホテル・旅館の公式Webサイト

いまや、全国のホテル旅館の公式Webサイトが、画像も含め、洗練されたものが多くなった。

ほんの数年前までは、けっこう各施設で格差があったものだが・・・。

これも、宿泊施設の経営者が、ネット戦略に本腰を入れてきた事に、大いに関連しているからだろう。

 

ただし、Webサイトは、どこも似たり寄ったりの様相。

デザインが良くなっても、個性的なサイトを探すのが難しくなった感じもする。

 

そして、肝心のサイトの中身を検証してみると、私からすると、決定的に欠陥とも言えるポイントがある。

温泉旅館のWebサイトを例にとると、メインコンテンツとしては、施設、温泉(風呂)、客室、料理、アクセス・・・とあるが、その中でも、一番重要なのに、一番手抜きされているコンテンツがあるのに気が付くのだ。

 

それはいわゆる「周辺観光」(宿周辺の見どころ)。

その宿があるエリアには、どんな景勝地、歴史的遺産、施設、そしてイベントがあるか、詳細に紹介しているサイトは少ない。

何も、有名な観光地や景勝地なんて要らない。

そこに、穴場的なスポットでも構わないから、こんな面白いところがあるんだというプレゼンテーションが無さすぎるのだ。

マイナーでも、インスタ映えするスポットの紹介は面白いはずだ。

地元に住んでいると気づかないが、旅行者の目線では新鮮に映ることはよくある事。

最近のインバウンドの隆盛で分かるように、日本人が、気づかなかった魅力を、外国人旅行客が見つけてくれた状況は、皆さんご存知のはず。

 

宿に泊まるだけの目的で旅行する人には関係ないかもしれないが、一般的に旅行者は、旅の途中で、何かしら刺激や思い出に残るような体験をしたいはず。

宿泊先の紹介はもちろん必要だが、それだけであれば、いわゆる自宅の「点」と、宿泊先の「点」を結ぶだけの紹介。

旅行者には、「点」から、宿とその周辺エリアである「面」を紹介すべきと思う。

 

周辺の景勝地、歴史的遺産、施設、イベントは、その宿の「魅力」でもあるからだ。

それを自らのWebサイトで、詳細に紹介しないのは、いかにももったいない。

画像を張り付けるだけ、または観光協会のサイトにリンクをはるだけでなく、他のメインコンテンツと同様に充実させるべきだと思う。

動画は、間違いなく効果的だろう。

旅をさせるための三要素と言われる「時間」「お金」「モチベーション」のうち、一番大事な、旅行をしたいという「モチベーション」を刺激することは、必要不可欠と思うのは私だけであろうか。

温泉旅館とインバウンドの相性

2017年も、観光業界のインバウンド景気は好調の様子。

喜ばしい限りだが、東京、京都など人気エリアは、相変わらずの宿泊施設不足で、法的、周辺環境などの問題を抱えながらも、民泊業界も活況を呈している。

そんな中、私が、その宿泊施設のエース格に挙げたいのが、いわゆる「温泉旅館」。

「温泉」(泉源)は、そのほとんどが地方都市、または人口が密集していないエリアに存在する場合が多い。

インバウンドが、定番の人気観光地から、地方に目を向けようとしている段階に来ている事を考えれば、その“地方”に存在する温泉旅館は、まさに切り札的存在に思える。

温泉旅館は、古くからのニッポンの文化、風習、食、そして日本人が愛してやまない温泉を一度に体感できるからだ。

しかし、否定的な意見を持つ方もいるようだ。

温泉旅館は、湯治宿はともかく、長期滞在ではなく、1泊2食スタイルが基本となっていること。

ホテルと違い、夕食は基本ひとつのコースとなっており、しかも時間もある程度決まっている。

せっかく日本に来たのだから、時間を許す限り、周辺を歩き回りたい旅行客にとっては、夕食時間が決まっているのは、堅苦しく思う部分もあるという。

連泊するのが当たり前と思っている客は、なおさらだ。

食材は変わっても、食事のスタイルは変わらない。

ホテルのように、その日の気分でレストランを選べない。

特に、小さなお子さん連れのファミリー客にとっては、つらいところだ。

このような状況を敏感に察している旅館経営者は、「泊食分離」を実践している。

山奥の一軒宿などは別だが、温泉地を形成しているエリアの中で、夕食は宿の近くのお店を紹介するスタイル。

夕食の時間を遅くしたい場合は、居酒屋という選択肢もある。

そのような情報を、自社Webで案内するところが徐々に増えている。

そうする事により、連泊を促すこともできよう。

これは日本人にも有効なような気もする。

地方ならではの珍しい美味しいものを見つける事は、旅行のひとつの醍醐味であるからだ。

レコード盤的・やど批評 第2回「おたる宏楽園」(北海道)2017年7月訪問

【A面】(基本情報・設備など)

北海道・小樽と言えば、ノスタルジックな港町。

歴史を刻む運河は、この街のシンボルでもある。

北の大地にありながら、特に女性の方たちには、スイーツが美味しいスポットとして認知されているに違いない。

小樽市街からクルマで数分の距離に朝里川温泉というエリアがあるが、その中でも広大な日本庭園が自慢の温泉旅館が「おたる宏楽園」。

玄関に入ると、そこで靴を脱いで、スリッパを履かずそのまま歩く。

ロビーも廊下も、ほとんどが畳敷きなのだ。

これが気持ちいい。

我が家に帰ってきたような感覚にもなる。

露天風呂付きの大浴場も2ヶ所もあった。

専用の露天風呂を備える客室も豊富にある。

さらに湯舟が広い貸切風呂も備える。

料理も評判がいい。

北海道らしい、海の幸、山の幸の新鮮な食材を使い、上品な献立でゲストを悦ばせてくれる。

 

【B面】(コンセプト・その他)

この宿の一番特徴的なのは、客室35室の規模ながら、露天風呂付きの客室が28室もあるという事。

この点でコンセプトがある程度、理解できる。

大人数の旅行より、個人旅行にシフトしているようだ。

露天風呂付きの客室の料金は、一人2万円台半ばからとなるが、その中身というか、滞在の充実感を考えると、リーズナブルな料金体系と言えるだろう。

敷居の高さを感じさせない高級旅館というか、ゆったり感が館内を漂う。

この心地いい雰囲気は、どこから来るのか?

北海道の開放的な空気がそうさせるのか?

それもあるだろうが、この宿は、この規模にして、家庭的な温かさを感じさせてくれるのだ。

それは、米山社長と女将さんご夫妻のお人柄によるものだろうと私は思う。

仲睦まじいご夫婦は、宿がもちろん好きで、従業員を家族のように接し、そしてお客さんが気持ちよく過ごせるように常に心配りを怠らない。

多分、見えないところで色々と準備をしているのだろうな・・・と推測してしまう。

何事も、見えないところでの努力が、結果的に報われる。

そんなことを思い起こさせてくる、気持ちのいい宿だった。