HHH戦略~温泉旅館編

2016 年 7 月 31 日

「HHH(スリーエイチ)戦略」というワードを、お聞きになった事はあるでしょうか。
これは2014年に、Google、YouTubeが提案した、いわゆる動画を使ったマーケティング戦略という意味。

ただ、動画の視聴回数が増えても、アクションにつながるとは限らない。
つまり、電話での問い合わせであれ、宿泊予約であれ、コンバージョンしなければ意味がない。
そのコンバージョンにつながりやすい動画設計が、HHH戦略。

それは、Hero(ヒーロー)、Hub(ハブ)、Hygiene(ハイジーン)(※Helpという場合もある)という3つの動画カテゴリの構成からなっている。
業界により、その応用法は違うが、ここでは私が携わっている、温泉旅館さん(宿泊施設)向けの導入法をご案内します。

Hero動画とは、たくさんの人に視聴してもらうための動画で、認知拡大を目的としたもの。
つまり、ヒーローのように、多くの人から支持される動画。
そのためには、ある程度の企画力と映像のクオリティが求められる。
その分、予算(お金)が必要なので、大企業向けと言う人もいる。

Hub動画とは、ハブに“拠点”という意味があるように、ブランドとターゲットを繋ぐもの。
Hero動画を観た視聴者が「次も見てみたい」となった時のがこれ。
自社のターゲットユーザーが関心を持つ可能性が高い情報の動画。

Hygiene(Help)動画は、ターゲットユーザーが持っている課題を解決する動画の事。
Hygiene動画とは衛生学を意味し、動画マーケティングでは、ユーザーを顧客化する事を指すようだ。
また、すでにあるコンテンツを、分かりやすく動画化することも、これに該当する。
さらには、宿公式Webで、宿側自身で発信する料理の献立や、最新情報などを紹介するショート動画も、これにあたる。
Hygiene動画は、HeroやHub動画ほど、映像のクオリティにこだわらなくてもいい。
それよりも、ありのままの宿の姿を紹介するほうが、より親近感が湧き、ファンを増やす事ができる。
その内容としては・・・季節の移ろいが分かる動画、宿へのアクセス、予約方法、宿泊者の声・・・などがお勧め。

私の会社では、「宿PV」という、宿泊施設のプロモーションビデオを制作している。
そこには、ドローンによる空撮、タイムラプス動画など、一目でその宿のキャラクターが分かるものを1分~90秒の長さで制作している。これが「宿PVプレミアム」。
これを、Hero動画として見ていただきたい。

次に、温泉、客室、周辺情報・・など、細かくテーマを決めて作っているのが「宿PVミニ」。
60秒ほどの尺だが、そこには充分に情報が詰まっている。
これは、Hub動画だろう。

そして、最近話題のVR(バーチャルリアリティ)動画も制作している。
スマホでWebサイトにアクセスした場合、VRゴーグルを目にあてれば、まさにその場にその映像のものが実際にあるように見える。
そのVR動画も、YouTubeは、PCでも対応するようになったのは大きい。
宿側から直接動画を発信できないなら、これをHygiene動画としてもいい。

以上がHHH戦略の概要。
Heroで多くの人々に出会い(集客)、Hubでターゲットとなる視聴者を掴み(ファン化)、Hygieneで問題を解決しコンバージョンを促す(顧客化)。
このような導線を作ることで、かなりの効果が期待できるはず。

Googleによれば、大企業ではすでに実践され、大きな成果をあげているとの事。
しかし、予算が潤沢な大企業だけでなく、小規模な宿泊施設でも充分取り入れることができる。
今、私はこれに無限大の可能性を感じている。
欲しい情報を探し、閲覧できるのがWebサイトとすれば、直感的に情報を自動的にもらうのが動画。
例えれば、“静”がWebサイト、“動”が動画。
言わば、お店がWebで、そのお店を宣伝する営業マンが動画。
ちょっとニュアンスが違うかもしれないが、ニュースを読む(見る)媒体として、“新聞”がWebサイトで、“テレビ”が動画とも言えるだろう。

SEO対策も、キーワード重視の時代から、動画重視の時代に移行しているのも事実。
Webサイト(静)と動画(動)を、バランスよく組み合わせれば、最良のマーケティングが実践できる。
配信イメージとしては、年に1~3回ほどHero動画をアップし、その隙間にHub動画を3~6回ほどアップ。
Hygiene動画は毎月アップするのが理想だろう。
何といっても、YouTubeに何本も動画を載せようが、無料だから。

動画マーケティングの時代

2016 年 6 月 30 日

YouTubeは、皆さんがご存知の通り、動画サイトの最大手。
YouTubeの動画は、世界で1日あたり40億回再生されていると言われています。
それは、世界人口のうち7人に1人がYouTubeを使用し、2人に1人が毎日1回はYouTube動画を見ている計算になるということ。

しかも、YouTubeは無料で無制限で動画を配信することができる。
これを、Webサイトへの誘導や、マーケティングに使わない手はない。
そもそも、動画が伝わる情報は、文字数に換算すると1分間につき、400字詰め原稿用紙4500枚に相当すると言われている。

実際、私の関わっている宿泊施設のオフィシャルサイトで、動画の埋め込みを徐々に実行し、成果を上げている。
動画を導入することによって、短時間で、明確に、情報を提供できるようになったからだ。

さらに、今はPCよりもスマホでWebを観る時代。
スマホは、PCほどじっくりと観てくれない。
できるだけ短い時間でも、できるだけ多くの情報を伝えたい。
だからこそ、動画は重要なのです。

また、SNSとの相性がよく、Webブラウザからの利用なら、facebookやTwitterなど、10以上のSNSのシェアボタンが設置されており、拡散に結びつく可能性も高い。

ちなみに、こんなデータもある。
動画を適切に埋め込んだWebサイトは、そうでないWebサイトよりも検索上位に表示される確率が最大53倍もアップするという。
もう、キーワードだけでは、SEOは語れないのだ。

来週も、私は、動画撮影のため、一眼レフだけでなく、ドローン、タイムラプス関連の機材など、クルマに満載して、宿を目指す。

不満足だからこそ生まれる事

2016 年 5 月 31 日

私の子供時代、熱狂しながら観ていたテレビ番組があった。
いわゆるスポーツ根性もの、略してスポ根漫画の代表格「巨人の星」だ。
後にジャイアンツの投手となった星飛雄馬が主人公。

小さい頃から、父・一徹のスパルタ教育を受け、毎日野球の練習に明け暮れ、将来は巨人のエースになる事を夢みる飛雄馬の成長物語だ。
しかし、念願のプロ野球の、しかも巨人の投手になったのも束の間、速球は投げられるものの体格が小さいため「球質が軽い」=「打たれれば球が飛びやすい」という、肉体的というか、体質的というか、練習をしても改善できない「致命的な欠点」を突き詰められる。

そこで、飛雄馬が考えたのがいわゆる「魔球」。
変化球を覚える選択肢もあったが、それは中途半端な投手にはなれるかもしれないが、飛雄馬が目指すのはあくまでも「巨人の星」であり「巨人のエース」だった。

だからこそ、誰でも投げられない、そして打たれない魔球が必要だったのだ。
その名前が「大リーグボール」。
飛雄馬は、苦闘の末、1号から3号まで、実に3つの魔球を完成させた。
その時は、紛れもなく飛雄馬は「巨人の星」だった。
「球質が軽い」=「打たれれば球が飛びやすい」という事が無ければ、飛雄馬が体格に恵まれていれば、「大リーグボール」は生まれなかった。

つまり、現状に不満足だからこそ、生まれた魔球なのだ。
これは、私たちの生活のなか、ビジネスのなかでも考えられる事。
現状に満足していたら、そこで成長は止まり、後は、下降するばかり。
不満足こそ、成長の原動力とも言える。
私も、現状の不満足の中から、自分なりの「大リーグボール」を、現在開発中だ。

しかし、無理はいけない。
飛雄馬が考えた魔球の最終形「大リーグボール3号」を完成した後、それが原因で、まもなく彼の投手生命も終わり、最終回を迎える。

自然災害と温泉宿

2016 年 4 月 30 日

2016年4月14日以降、熊本県・大分県を中心におこった群発地震は、数々の民家を倒壊させ、多くの死傷者を出した。
被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。
東北生まれの私にとって、これで思い出されるのは、2011年3月11日の東日本大震災。
まだ、あれから5年しか経っていないのに・・・おきてしまった。

ちょうどその頃、まさに東北から北関東を周っていた時期だった。
東北の、ある宿の女将は、熊本の地震のニュースを聞いて、その場でへたりこんだという。
5年前の悪夢が、思い出されたからだ。

このブログを書いている4月30日現在でも、少なくなったとはいえ余震が続いているらしいが、九州の南北の大動脈である九州新幹線や九州自動車道も復旧し、私からすればもの凄いスピードで、復活しようとしている。

今月後半は、スタッフ総出で、関係している九州のお宿さんと連絡を取りつつ、キャンセルなど相次いだお客様への対応のお手伝いや、最新のニュースの告知などのフォローを、できる限りさせていただいた。
その時感じたのは、やはりフェイスブックなどSNSの役割の大きさだ。
HPの更新などままならない時でも、スマホさえあれば、いつでも新しい情報をアップできる。
その情報伝達のスピードは、今回の地震の影響を少しでも減らしてくれた感がある。

それでも、黒川温泉や由布院温泉でも、宿の一部が壊れ、解体せざるを得ないところもいくつかあると聞いた。
この地震を機に、廃業する宿もあるとも聞いた。

いずれにせよ、大きな地震は、自然災害は、宿の未来、人の人生を狂わせる。
温泉宿は、家のように簡単には引っ越せない。
大地の下に眠っている温泉とつながっており、かつ運命共同体だからだ。

温泉という自然の恵みをいただいている日本という国は、火山大国であるという事実から逃げられない。
だからこそ、微力ながら、少しでも、愛する温泉宿を守りたいと改めて感じた。

中国からの団体訪日客のお手本はJTB?

2016 年 3 月 30 日

最近、日本でいわゆる“爆買い”をした中国人家族に会うことができた。
もちろん、日本製品をこよなく支持する人たちだ。
上海に住むその家族は、上海~福岡を結ぶ、定員約5000人収容の超大型クルーズ船を利用して、日本旅行を楽しんだ。
その家族が日本で買った主なものをあげると次の通り。
・炊飯器
・シャワー付きトイレ
・化粧品
・サプリメント
・フェイスマスク
・目薬
・お菓子
まず、炊飯器は15万円前後の高級なもの。
彼らが言うことには「安いものは信じられない」「高いものはいい」という事らしい。
そして、シャワー付きトイレ。
TOTOなどのトップシェアのものでなく、パナソニック製のものであった。
理由を聞くと、上海での工事業者による設置無料サービスが付いているらしい。
化粧品は、相変わらず資生堂が強い。
サプリメントは、納豆の成分をタブレット状にしたものが最近人気とのこと。
日本人の長生きの秘訣は、納豆にあるらしいと噂が立ち、ただ、納豆は食べられない中国人は多く、それならば納豆のサプリメントということのようだ。
500㏄ぐらいの大きさに入ったサプリメントの値段は、なんと4万円近くしたという。
(日本人から見るとまず1万円前後にしか見えない)
友人や会社の同僚のお土産に人気なのは、目薬やフェイスマスク。
なんといっても、おみやげを運ぶことを考えれば、かさばらなくて、重宝するらしい。
お菓子は抹茶系が大人気だ。

ただ、九州のお土産品としてみせてもらった商品は、私たち日本人が見たことのないパッケージのものばかり。
あ!・・・とここで、私は確信した。
数十年前、私が初めてハワイに行ったときのことを思い出した。
現地到着後、市内観光という名目でバスに乗せられ、頼んでもいないのに、ギフトショップやサプリメントショップに連れていかれた事を。
ハワイ初心者の観光客は、ここぞとばかり、チョコレートや、サプリメント、民芸品などを買ってしまう。
しかしそれは、ほとんどが地元の人は買わないし、見たこともないパッケージの商品で、まさに観光客向けの開発された商品ばかりなのである。
これぞ、JTB方式!・・・と後日、儲けのからくりとして、勉強させてもらった。

同じことが、中国人の訪日客の間で起きている。
ツアー会社は、中国人訪日客が日本に到着するなり、貸切バスに乗せ、関係する店舗へ連れて行くのだ。
その店舗も中国系の会社が経営している場合が多いと聞いた。
ということは、中国からの訪日客がたくさんきて、日本の企業や店舗がその恩恵を被るのではなく、同じ中国系の企業や店舗が潤っているのだ。
(さすが中国!)

しかし、問題はそのあとの展開。
訪日リピーター客が増えれば増えるほど、今度は個人旅行が増えるはず。
そこで今のうちに、宿泊施設は、その準備を怠ってはいけない。
まずは、名前を覚えてもらわなくてはならない。
(つづきは次回)

スマホを制すれば世界に勝てる

2016 年 2 月 29 日

ある調査機関の最新のニュースで、PCとスマホでインターネットにアクセスする比率は、3:7と聞いた。
動画に関しては、なんと80%がスマホで見ているという。
スマホは、まさに、手のひらにあるという利便性が、現代人にとっての必需品以上、パートナー的な役割を持つようになったという事かもしれない。

ビジネスも、スマホを使ってのマーケティングが大流行だ。
インバウンド需要で活気づく国内の観光業界でも、いかに有効利用できるか、各分野で研究、勉強をしている。

そこで登場するのが、いわゆるコンサルタント。
いち早く、情報を収集するアンテナを持つ彼らは、迷える子羊たちを、魅力的に惹きつける。

しかし、注意しなければならないのは、そこで教える内容だ。
まず、基本の、業界の動きを教えてから、あるところの成功例を紹介する。
こうしたらから、こうなった・・・という感じの。

だいたいが、そこで終わり。
自分の会社に置き換えて、応用させるのは、はやり自分自身の実行力、戦略に頼るしかない。
ヒントを与えてもらって、そこでどうやって次の手を打つかは、自分自身の判断しかない。

他のマネをすれば、それは二番煎じ。
上手くいってもそこそこで、天下を取れることはまずないだろう。

だからこそ、自分の会社の魅力、長所をできる限り、客観的にリサーチする必要がある。
これは、自分自身より、他人に教えてもらった時の方が、気づく事が多い。

スマホを制すれば世界に勝てる・・・といったが、スマホというのは一種のゲームのルールであって、自分自身のチーム(会社)が勝てるようになるには、自らの戦力分析をし、オリジナルの戦略を立てるしかないのである。

宿泊施設の生き残り策

2016 年 1 月 31 日

業界紙(誌)やネットの関連サイトを見ると、経営セミナー、Webセミナー、インバウンドセミナーなど、セミナー告知が多いな~と改めて思う。
ある旅館の経営者から聞いた。
「ここ数年、一通りセミナーを受講して、色々と改革している。でも、驚くほどの効果は上げていない。」とか、
「社員に受講させ、それを実施しているが、効果は長い目で待つ。」とか、
「数字などデータをまとめて、経営の“見える化”、課題の“見える化”は成功したが・・・」とか、様々だ。

今は、インバウンド特需を享受している宿泊施設は多いが、こればっかり頼っているのも、心もとない。
昨年、日本一の集客力を誇った箱根温泉郷でも、大涌谷の噴火があって観光客が激減したように、自然災害が、いつ何時、何処に起きるか分からないし・・・。

ある経営コンサルタントは言う。
「起業しても10年以内に95%が廃業する」
「30年なら99%消滅」
・・・とか、恐ろしい事を言う。

立場は違うが、私の経営するひとつの会社も、もうすぐ31年目を迎える。
振り返れば、大学生の時から、社会人にならず、そのまま起業したわけだから、無鉄砲だったな・・・と振り返る(汗)。
当時は、領収書も請求書の書き方も、よく分からなかったような気がする(苦笑)。

でも、考えてみれば、なぜ、会社が続けられたかという理由を探すと、「師匠がいなかった」事のような気がする。
要するに、ビジネスの方法を教えてくれる会社や、先輩に頼らず、自己流でやっていったという事。

それはそれで、失敗の連続で、当時は大変だったが、若さのせいか、それも今振り返れば楽しかったような気もする。
当時、出ていた自己啓発本らしきものは、読んでいたような記憶もあるが、大事なものは、他社にない「オリジナリティ」があれば、生き残れるという事を学んだ。

ライバルの大きな会社が、右を向けば、私は左を選択した。
真逆こそが、我が道なりと信じて。

そうすると、それが面白い、使ってみようか・・・という会社が現れる。
そして、成果を出して見せる。

そんな繰り返しだったような気がする。
そして今、思うのは、宿泊施設の経営者の方々に言いたいのは、セミナーを受講して、それをどのように消化するかという事。
同じテキストで、何百、何千の受講者に教えるのだから、そのまま実行したら、どこも同じビジネスモデルとなってしまう。
金太郎飴の如く、何処も同じような施設になってしまうという事なのだ。

私の知っている、超がつくほどの繁盛旅館は、まさに「オリジナリティ」の宝庫。
まさに、我が意を得たり。

2015年はリアル・インバウンド元年?

2015 年 12 月 31 日

それは、12月22日のテレビのニュースで知った。
今年、日本を訪れた外国人の旅行者数が、12月19日で、1,900万人を突破したという。
2013年2月以降、先月まで34か月連続でその月の最高記録を更新していて、3年前より1,000万人以上増えたことになる。
国交省は、ビザの緩和や免税制度の拡充などの取り組みが功を奏したとみているらしいが、もちろんそれだけではない。
国内の宿泊施設も、新しいマーケットを求めて、充分に努力した結果が実を結んだ。

もうひとつ驚くべきことは、出国した日本人の数(アウトバウンド)は45年ぶりに訪日外国人(インバウンド)の数を下回ることが確実になったという。
45年前といえば、1970年の大阪万博があった年。
実にそれ以来の、インバウンドがアウトバウンドを逆転したことになる。

観光庁が発表している統計(2014年度)を見れば、日本はインバウンド受入数で、世界22位。
アジアの中でも、7位だった。

しかし、日本は、歴史・文化が豊富な事、治安がいい事、交通インフラが整っている事、ゴールデンルートだけでなく、各地方に自然や観光名所などが数多く点在している事・・・などを考慮すれば、フランス、アメリカなどの観光大国以上に魅力的であると思う。

アジアで7位というのは、あまりにも今までが低すぎた。
これからは、インバウンド年間2,000万人どころか、5,000万人も夢ではなくなったような気もする。

今まで、日本人の富裕層をはじめとした顧客を持っている国内の宿泊施設は、日本人だけ見ていればよかった。
しかし、日本人は休前日や、連休などに集中する短期型の休暇を求める傾向にある。
それでは、なかなか平日の客室稼働率も上がらず、繁忙期と閑散期という概念も生まれた。

それが、海外の顧客を獲得できれば、日本と休暇のスケジュールも違い、閑散期もなくなる事もあるだろう。
インバウンド客にとっては、日本を訪れる事は、海外旅行であり、平日休日関係なく、数か月前に予約が入るという点も、国内の宿泊施設にとってはメリットだ。

すでに、リピーター化しているインバウンド客は多い。
これも、観光庁のアンケート資料から見ると、「もう一度日本に来たい」と思っている旅行者が7~9割もいる。
その中で、「体験したい事」を聞けば、「日本食を食べたい」「温泉に入りたい」「日本の文化・風習に触れたい」などが上位を占める。
・・・これって、「旅館」に泊まれば全部体験できること!

日本は、都市部と地方との格差が問題視されて久しい。
しかし、観光という産業が、これから地方が生き残る最良の道と思えてならない。

「ここには何もないよ」と、自虐的に語っていた日本の地方に住む人たちの言葉は、海外からの旅行者にとっては、
「こんな自然が残っているって素晴らしい!」・・・と見えるのである。

漫画、アニメなどを代表とするサブカルチャーも、世界をリードしている日本。
ある歌の歌詞にもあったが、ニッポンの未来は世界も羨む・・・のである。

旅館の鎖国政策

2015 年 11 月 30 日

本当に、数年前までは、日本の旅館は、まさに鎖国制作を取っていた。
うわべ上は、海外のお客様も歓迎しますと言っておきながら、それに対応するような、英語表記の看板も、案内も少なかった。

ところが、今や年間の外国人客訪日数2000万人超えも夢ではなくなった。
そんな中、この波に乗って、急激に業績を伸ばしている旅館がある。
そこに共通しているのは、ターゲット層の多国籍化だ。
つまり、日本国内のマーケティングだけでなく、世界中のお客様に対して、プランを組むということである。

日本には四季があり、それぞれのシーズンの繁忙期には、当たり前のように日本人が観光客として押し寄せるが、少し時期がずれると、旅館には閑古鳥が鳴いた。
しかし、世界に目を向けると、例えば、(亜)熱帯エリアの国の人たちは雪に感動し、逆に極寒エリアの国の人たちは、日本の温かさに心躍る。
つまり、今まで閑散期だったシーズンを、海外のお客様をターゲットにする事で、その隙間を埋めてしまえるという事なのだ。

今までは、日本の旅館の売店では、冬の時期は、夏物の衣類は置いてなかった。
逆に、夏の時期には、ダウンジャケットなどは置いてなかった。
しかし、(亜)熱帯エリアの国の人たちは、冬に日本に来ても、自国で着ないダウンジャケットはお土産としては買わない。
極寒エリアの国の人たちは、夏に日本に来ても、夏物衣類よりも、自国で着られるダウンジャケットをお土産として好むだろう。

バブル時期に持てはやされた、お金持ちの代名詞だった錦鯉も、今や日本の商圏は縮小するばかりらしいが、西アジア、ヨーロッパでは、大ブームらしい。

これは一例だが、ターゲットを世界中に拡げると、在庫処分どころか、売上げが大幅にアップできるという事がお分かりになるだろう。

先日、紅葉の撮影のために、九州に出向いた。
紅葉のシーズン真っ盛りだったので、いつも利用している旅館は満室で部屋が取れない。
仕方なく、楽天トラベルや、じゃらんnetで調べると、トップシーズンでありながら、ビジネスプランと称して、激安の宿泊プランを見つけることができた。
いざ、泊まってみると、外国人が喜びそうな、昭和の香りのする和風建築で、温泉もいい。
しかし、お客はすべて日本人のご年配の方ばかりだった。
女将に聞くと、「うちは今までもこれからも日本人客だけでやっていきます。(外国人客を入れると)常連客の方に申し訳ないから。」
こちらの女将は、お風呂のマナーも分からないひと昔前の外国人客への偏見もあるようだが、人それぞれの考え方もあるし、私も否定はしない。
しかし、経営的にいつまでやっていけるのか、疑問には思う。
時代の流れ・・・と簡単に言うが、これに乗り遅れると、とばっちりをくうのは、旅館経営者本人なのである。

日本人だけというより、日本人のみにターゲットを絞った旅館経営は、それはそれで、ひとつの個性であり、ウリでもある。
だが、古くからの常連客の話ばかり聞いているだけでは不安だ。
客は、宿が潰れても、何も保証してくれない。

今年の“紅葉”

2015 年 10 月 31 日

今、私は、この時期、目が回るほどの忙しさだ。
その原因は“紅葉”にある。
昨年から、空撮(ドローン撮影)を始めたからだ。
予想以上の受注を受け、全国を飛び回っている。

新緑の季節は2ヶ月、雪景色は場所によっては4ヶ月以上もある。
ところが、“紅葉”のピークは、あっという間に過ぎ去ってしまう。
1~2週間といったところだろう。

だからこそ、いっせいに色付き始める10月下旬から11月は、例年になく忙しくなった。
この時期の温泉宿は、繁忙期にあたる。
だからこそ、宿泊する部屋の確保も難しくなる。

考えてみれば、今まで空撮などやっていない時は、繁忙期は温泉取材など行かなかった。
閑散期を狙って、出かけていた。
しかし、それも今はできない。
映像確保が第一だからだ。

思えば、銀塩カメラの時代、フィルムが一番売れたのが、紅葉の時期だったという。
夏休みでもなく、GWでもなく、お正月でもない。
紅葉が、まさしく行楽シーズンの中心なのだ。

考えると、紅葉の季節は、やはり彩りが美しい。
赤、黄色、緑・・・とバリエーションがある。
新緑や、桜の季節もいいが、やはり、“絵”になる写真が撮れるのが、この時期なのだ。
カメラを持って出かける人たちが、全員フォトグラファーとなる季節なのだ。

私は、明日も、明後日も、4K対応のカメラを積んだドローンを持って、全国を動いている。
もちろん一眼レフも忘れていない。
あと1ヶ月は覚悟の時期となる。