有名観光地を持たない温泉宿の未来

2017 年 2 月 28 日

相変わらず、京都を代表とする有名観光地のインバウンドの吸引力は凄い。

ニッポンに初めて来る外国人旅行客にとっては、やはり定番どころの有名観光地をおさえたいのは、心情的によく分かる。

問題は、二度目以降の訪日旅行の場合。

次は、もう少しディープなニッポンを見たい、もっと田舎のリアルな生活風景を体感したい・・・と思ってくれたら・・・・・それは喜ばしいことである。

そこに、有名観光地を持たない温泉宿の未来があるからだ。

 

温泉は、日本人の国内旅行におけるド定番。

何かの記念日とか、ちょっとした休暇とかに温泉旅行は欠かせない。

年齢を重ねた人たちには、カラダのメンテナンスのための湯治という文化もある。

まさに、ニッポンのディープで、リアルな生活風景がそこに存在する。

 

業界でインバウンドのコンサルタントと名乗る人たちは、どちらかというと、メジャーなものの見方が大半だ。

業界誌や経済誌を読んでも、そういった無難な表現をする書き手が重宝される。

しかし、現実には、そういった記事や評論は、結果的に成功した事例を伝えているだけに過ぎない。

 

では、有名観光地が近くにない地域の温泉宿は、どうすれば生き残れるか・・・というテーマは、どちらかと言えば、マイナー的なマーケティングが必須で、例えれば、細かな処方箋が必要なのだ。

つまり、ホームページひとつとっても、大ざっぱな、どこの宿でも紹介しているやり方では、どこからも注目されず、埋没していく運命になることだ。

 

有名観光地を持っている宿の社長が、私に販促の相談をして、その答えとして、新しい提案をすると、このような返事が返ってくることが多い。

「それ、他のどこかでやっているの?」(他で成功例があるなら、やってみてもいいという意味)

 

有名観光地を持たないのに、繁盛している宿の社長は、大体がこう答える。

「それ、他のどこかでやっているの?」(他でやっていないなら、やってみてもいいという意味)

 

言い方は、同じでも、その意味は正反対なのは面白い。

つまり、有名観光地を持たない宿は、マイナーでもいいから、個性を前面に押し出し、キャラを立たせないと目立たないという事なのだ。

あまり集団から目立ちたくない、変わり者と呼ばれたくない日本人の性質からは難しいところだが、やはり商売、ビジネスともなると、目立たなくては、未来はないという事。

 

私は、幸運にも、そういったお宿さんとのお付き合いがほとんどだから、仕事が楽しい部分があるのは確か。

「変わり者」と呼ばれるのは、私にとって、最高の褒め言葉なのだ。

一生懸命と裏の顔

2017 年 1 月 31 日

私は、何事もひたむきで、努力を惜しまない人が好きだ。

向上心というか、いつでも、精進を心掛けている人を尊敬する。

実際、そのような人と会うと、お話ししていても心地いいし、自分も浄化されていくというか、爽やかな気分になれる。

 

温泉宿も同じ。

色々細かい点を見れば、修正すべきところも見つかるかもしれないが、それ以上に一生懸命さが伝わる宿は、宿泊客にとって何事にも代えがたいありがたさを感じることができる。

愚直なまでに、こだわりを持ち、見せかけだけのアピールをしない、その潔さは、感動すら覚える。

 

しかし、残念ながら、そんな宿ばかりではない。

お客様のクチコミも評判がいいし、施設も、お客目線で使い勝手がいいように工夫されている。

でも、一般の人が気付かない裏の顔を持つ宿もある。

 

一番多いのが、いわゆる温泉偽装。

これは、古くからある温泉地によくある話。

源泉かけ流しと謳っていながら、実際は源泉量が少なく、循環を行っているところ。

 

そして、いわゆる業者いじめをする宿の経営者。

何かと、ミスや細かい点を見つけては、法外な値引きを迫ったり、取引停止を匂わしたり。

私の知っているフリーランスのWebデザイナーは、そんな宿にいつも翻弄されて、私に相談してきたことがあった。

聞けば、取引先の相手は誰でも知っている有名な温泉宿でクチコミもいい。

しかし、裏では、血も涙もない取引を迫ることがあるという。

そんな宿とは、付き合わなければいいじゃない?・・・と一般の人は思うだろうが、個人で、フリーで生業を営んでいるクリエイターにとっては、それは収入減を意味する。

営業力がない人にとっては死活問題なのだ。

 

私は、幸運にもあまりそういう宿とは、お付き合いは少なかったが、長く業界にいると、たまに裏の顔を持つ宿というか経営者に会うことがある。

しかし、私は、自分の性格上(笑)、決して屈しない。

「この業界で食えないようにしてやる」「いろんな宿に言いふらしてやる」などと、直接的な表現はしないにしろ、そのような事を匂わせる場合がある。

 

そのような宿の経営者は、フリーランスのカメラマンが撮った画像を無断使用したりする。

詐欺行為や著作権法違反などを平気で行う。

さらには、契約したホームページ制作費などの大幅値引きや、支払い遅延をしたりする。

業者が、自分に刃向かわないと、高をくくっているからである。

 

今はSNSの時代。世間に訴えればいい。

そして、法律違反を行っている宿は、怖がらずに告発すべきである。

様々なリスクを負って、貴重な時間と労力をかけて、そしてお金をかけて作ったものは、契約通りのお金をいただくべきなのだ。

クリエイティビティを理解しない宿とは、おさらばすればいい。

 

ひと昔前の話。

志しのある宿は、画家、小説家、書家、陶芸家などの若手のクリエイターに仕事を与え、育ててきた歴史がある。

それが今はデジタルの時代になり、業界も変わったが、そんな現代のクリエイターを大事に育てようとの風潮が少ないのが気になるところ。

私は、クリエイター側の人間だが、微力ながら、有能なクリエイターをサポートし、より健全な業界になるように、努力していこうと思っている。

そう、一生懸命に。

一期一湯 移動はつらいが役に立つ

2016 年 12 月 31 日

また、あっという間の大みそか。
時が過ぎるのは、ホントに早い。
振り返れば、ある程度目標を立てていた事の、半分もやれていないかもしれない。

そして、年末年始は冬だから当たり前のように寒い。
こんな時は、やっぱり温泉に浸かるのがいい。
氷のように冷えきった足先などが、湯温でほぐれるような感覚がたまらない。
年明け早々、雪景色の空撮も予定しているので、夜の温泉浴が楽しみだ。

インバウンド対策の一環だが、そのドローン空撮も含めて、最近、温泉旅館のプロモーション動画を作る機会が増えてきた。
私の場合、撮影も自分でするので、編集があがって、お宿さんにそれを届けて、社長さんや女将さんの反応を見るのが何よりの楽しみ。いや、スリルか?(笑)
万が一、気に入っていただけなければどうしよう・・・とか、考えることもあるが。
しかしながら、大体がいい感想をいただけるので、やはり、時間が許せば直接お伺いするようにしている。
喜んでいただけた時が、自分にとって一番の至福の時であり、次へのエネルギーとなるから。
とはいっても、北海道から九州まで、お宿さんは全国にあるので、移動費も相当かかるのは確か。
それでも、クライアントさんの笑顔を見たくて、出向くのである。
もちろん、機材があるので、どんなに遠くてもクルマ移動だが・・・。

急ぐ場合、時間がない場合は、メールで送ることもあるが、やはりそれはさみしい。
自分なりに相当な時間と労力をかけて作ったものだからこそ、直にお見せしたいのだ。
大げさかもしれないが、自分の子どものようなものかもしれない。

来年は、もっといい年になりますように・・・。

自分にあった生き方

2016 年 11 月 30 日

私は、人間、歳を重ねると、どんどん人生の過ごし方、社会の処世術を学んで、ゆったりとした生活ができると思っていた。
しかし、齢54になって、ここ最近思うのが、ゆったりどころか、年々、毎日の仕事に追われているような気がする。
何かの書類に、職業という欄を見つけた時、以前は、会社経営と書いていたが、ふと考えると、経営という経営は、自分がしてきたか・・・と自問自答してしまう。
自分は、経営というよりも、自分で興味があるものを、自ら率先して入り込み、それをビジネスに昇華させて、会社の業務のラインナップとして少しずつ増やしてきた。

そのツケがまわってきたのか、分からないが、何かひとつ大きな仕事を終えても、次から次へと仕事が待っている。
でも、私は、喜ばしいことに、そんなハードワークの日々でも、大病をして、病院のお世話になったことは、ほとんどない。
最近でも、東日本大震災の時にストレスから首を痛め、それが要因で、体重が大幅に増えたことぐらいで、なんとか仕事をこなしている。
ところが、私の周りの同年代、もしくは下の世代の方でも、体調を崩したり、入院したりする人が数多く聞くようになった。
みなさん、共通しているのは、仕事に真面目で、忙しい方ばかり。
何事も、仕事を優先しているから、自分の体調は二の次になってしまうのか・・・。

私の場合、よく考えてみれば、ここ数年で大きくライフスタイルを変えたことに気が付いた。
自分の「オフィス」に行かなくなったことだ。
常識ならば、社長たる者、会社に毎日顔を出し、社員に叱咤激励しながら、陣頭指揮をとるのだろう。
それを・・・やめた。
スタッフを信じて、会社に行くのをやめた。
すると、前述のように、次から次へと、新しいアイディアが浮かび、結果、業務が拡がってきた。
通勤の時間を、考える時間に変え、さらにクリエイティブな作業に充てることができた。

やっぱり、歳を重ねると、こんな私でも、自分なりの処世術を結果的に作り上げられたのかもしれない。
今のところの自分の結論としては、常識にとらわれない、基本はストレスをためない・・・という事なんだろうか。
自分に合った生き方をしていれば、病気になる確率は少なくなると思う。
健康は、何よりも大事な財産ですね。

旅館スタッフ不足問題

2016 年 10 月 31 日

私が全国を周っていると、宿の経営者から必ずと言っていいほど聞くのは、旅館スタッフが不足しているという悩み。
そして、その現象は、ここ最近さらに顕著になっている。
インバウンドが増え、観光業界は追い風になっているはずなのに・・・。
お客が来ないという悩みよりも、スタッフが不足しているという問題が増えているという事なのだ。

報道でもよく取り上げられている事だが、日本国内の、いわゆる少子高齢化が起因しているのは間違いない。
一部の業界を除いて、若い労働力が、必要な数だけ集まらないのだ。
ただでさえ、東京など大都市圏に人口が集中する中、温泉旅館がある地方には慢性的に労働力が不足していた。

日本文化の象徴と言われる旅館は、「おもてなし」を体験できる場所。
その「おもてなし」を求めに、国内だけでなく、世界中から人々が日本に訪れてきている。

ところが、当たり前だが「おもてなし」には、マンパワーが要る。
「人」がいてこその、サービス業だから、当たり前である。

人を集める手段として、給料を上げる手もあるが、それも限界にきている。
ある旅館では、客室数が25あるところ、人手不足のため、最大稼働客室数を約半分の13室にしているという。
予約が来ないわけではない。
受け入れるスタッフが足りないからだ。

最近、日曜日の夜、都内のあるファミレスに立ち寄った。
そこの従業員を見て、少し驚いた記憶がある。
大学生ぐらいの若いスタッフは見つからず、どうみても、70歳前後の男性従業員ばかりだった。
10年前には、見られなかった光景だ。
東京でもこうなのである。
あと10年経ったら、お店などのサービス業は、年配の従業員だらけになるのかもしれない。

昔ながらのサービスを提供する温泉旅館は、まさに岐路に立っている。
人材を集めるにはコストがかかる分、宿泊料金を上げざるを得ない。
逆に、ふとん敷きなど、お客様に自身でやってもらう代わりに、宿泊料金を安くするなどの割引プランも今後増えていく可能性は高い。

以前より、年配の女性の仲居さんが、地方の温泉旅館の代名詞だった。
これからは、いったんリタイアした中高年の男性を、無理のない勤務シフトで働いてもらうシステムも考えるべきだ。
例えば、介護が必要な高齢な親を持つ方であれば、いっしょに住み込みで働ける環境を提供する。
働く場所と、介護する場所が隣接していれば、安心なはずだ。
同じ悩みを持っている中高年同士のコミュニケーションも取れるし、ストレスも軽減される。
中高年スタッフは、給料よりも、働く環境を重要視すると聞いた事もある。
新たに働き手を集めるひとつの手段にもなるだろう。

同時に、ITをフル活用して、時間がかかる事務的な作業を極力減らすことも不可欠だ。
ネット予約が入った時点で、請求書領収書はもちろん、お客の好みがデータベース上で閲覧できて、下足箱に入れる靴の名札まで印刷できるシステムが必要だ。
日々進化するネット関連業務は、できるだけアウトソーシングすることも大事だろう。
貴重なマンパワーは、できるだけ「おもてなし」に費やすことが、これからの旅館経営には絶対に必要な気がする。

旅館経営のパートナー

2016 年 9 月 30 日

一般的に、日本の温泉旅館は家族経営が多い。
規模が大きい宿でも、いわゆる世襲制の同族経営がほとんどだ。
私の知る限りでも、多くの宿で世代交代がされた。
その理由のひとつとして、この10年で、宿の経営のノウハウは大きく変わったからに思える。
今や、当たり前となったネットの存在がそうさせた。
しかも、1年ごと、数か月ごとに新しいサービスが生み出され、それを宿経営にマッチングさせられるかどうかに、業績の向上がかかってくるような時代になった。
情報も、あらゆる方面から入るようになり、取捨選択が面倒になったのも事実。
そして、最近では、旅館もRYOKANと呼ばれるようになり、インバウンド需要が増加し、グローバル化は避けられない環境になりつつある。

そんな中、ニッポンの宿泊施設は、先行き不透明な経営のかじ取りを、コンサルタントという名のパートナーを欲しているようだ。
ところが、自分の宿に合うコンサルタントを探すのが、指南の業となっている。
簡単に済ませば、大手旅行会社出身とか、予約サイト出身とか、または老舗の旅館ホテル専門のコンサル会社に委託する手もある。

しかし、それでいいのだろうか?
いまや、ネットが当たり前のインフラの時代。
旅行会社出身とか予約サイト出身であれば、結局彼らは、今までの成功体験しか持ち合わせていない。
老舗のコンサル会社に至ってもそうだ。

顧客予備軍のニーズを、どれだけ汲み取れるかが、これからのコンサルタントに必要だと思う。
痛いところをつくと、業界出身のコンサルは、自分であまり旅行しない。
言い換えれば、自腹で旅行をしないのだ。
仕事で、地方を周れば、それは、知識はつくだろう。
しかし、顧客予備軍のマインドを、彼らは、どこまでリサーチしているのか?

極論を言えば、宿の経営者は、それなりの勉強と研究をすれば、コンサルなぞ雇わなくても、充分なのである。
でも、どうしても必要ならば、業界出身のコンサルはやめた方がいい。
横並びの金太郎飴みたいな、何の個性もない宿を目指すなら、それでもいいが。

セミナーで成功体験を話すコンサルよりも、その宿ごとにきちんと対策を練ってくれる・・・。
そして、常に情報を集め、トレンドを熟知し、新しいネットサービスを研究し、それを応用検証ができる存在が、旅館経営には必要になってくると思う。
いわば、病気になった時に、医者が個別に処方箋を書いてくれるが如く。
抽象論が得意なコンサルよりも、マーケティング能力があり、そしてドクター的なパートナーが、これから求められてくるような気がする。

直接予約 vs ネット予約サイト

2016 年 8 月 31 日

最近、私のブログを見て、取材を申し込んできた著名な経済誌があった。
彼らが聞きたかった内容は、最近の宿泊施設と、予約サイトの関係。
そして、最近話題の予約サイト、または宿泊料金比較サイトの存在。

今更ながらと思うが、宿泊施設は、お客が直接予約をしてくれたほうが、利益が出る。
予約サイトを経由した宿泊予約は、手数料が発生するからだ。

宿泊予約サイトは、集客力があるから、無視できないという考え方がある。
それに対して、私は否定しないが、全面的に肯定はできない。
理由は、このブログで、何度も書いているが、予約サイトは「宿泊施設名」でリスティング(検索連動)広告を出しているから。
「○○旅館の予約は、××ネットへ」というような広告。

最初から、予約サイトのTOPページからスタートして、最終的に宿泊施設を探し出し、予約すれば、約10%と言われる手数料が発生する。
それはいい。
しかし、テレビやガイドブックなどを通じて宿泊施設名を知り、ネットで検索すると、まずは公式HPを閲覧する。
いざ、予約をしようとすると、リスティング広告から、予約サイトを経由してしまう事態が発生する。
それが、宿泊施設自体の財務状況を悪化させている。

予約サイトは、宿泊施設から集金している手数料を原資に、リスティング広告を堂々と出している。
考えてみれば、おかしな話。

私は、客室数50室前後の、人気の温泉旅館を予約した。
その予約は、公式HPからのネット予約。
少しでも、手数料を払わないようにと、私なりの心遣い。

しかし、その宿で、チェックインした際、ふと疑問を感じた。
その宿は、カード払いができる。
直接予約でも、もちろんOKだが、予約サイト経由でも大丈夫だという。

この宿の社長のインタビュー記事を、以前読んだことがあった。
今は、直接予約を増やすべき時代。
ネット全盛の時代だからこそ、予約サイトへ支払う手数料を少しでも減らすべき。・・・と。

予約サイト経由(約10%)で、しかもカード払い(約3%)だと、宿泊施設は合計約13%を負担しなければならない。
私は、直接予約のカード払いだから、宿泊施設は3%の負担だけでいい。

しかし、直接予約の私のメリットは、カード会社のポイントが付くだけ。
予約サイト経由だと、予約サイトのポイントとカード会社のポイントといった、ポイントの二重取りができるのだ。

その宿の公式HPを見ても、直接予約の特典も何もない。
これでは、直接予約が増えるはずもない。

予約サイトは、様々な戦略を練ってビジネスを展開している。
宿泊施設も、頑張っているが、その宿のコンサルタント会社を、後日知ることができた。
そのコンサル会社の社長は、某大手旅行会社の出身。
宿泊施設は、パートナーを誤ると、戦略も机上の空論になってしまう。

現在は、インバウンド需要もあり、“黒船”と呼ばれる海外の予約サイトも次々と日本に上陸している。
わが世の春を謳歌していた国内の予約サイトも、今やうかうかとしていられない状況になってきた。
そんな時こそ、宿泊施設は、未来につながる戦略を考えてほしい。
その戦略は、“直接予約”が、キーワードになってくるのは間違いない。

HHH戦略~温泉旅館編

2016 年 7 月 31 日

「HHH(スリーエイチ)戦略」というワードを、お聞きになった事はあるでしょうか。
これは2014年に、Google、YouTubeが提案した、いわゆる動画を使ったマーケティング戦略という意味。

ただ、動画の視聴回数が増えても、アクションにつながるとは限らない。
つまり、電話での問い合わせであれ、宿泊予約であれ、コンバージョンしなければ意味がない。
そのコンバージョンにつながりやすい動画設計が、HHH戦略。

それは、Hero(ヒーロー)、Hub(ハブ)、Hygiene(ハイジーン)(※Helpという場合もある)という3つの動画カテゴリの構成からなっている。
業界により、その応用法は違うが、ここでは私が携わっている、温泉旅館さん(宿泊施設)向けの導入法をご案内します。

Hero動画とは、たくさんの人に視聴してもらうための動画で、認知拡大を目的としたもの。
つまり、ヒーローのように、多くの人から支持される動画。
そのためには、ある程度の企画力と映像のクオリティが求められる。
その分、予算(お金)が必要なので、大企業向けと言う人もいる。

Hub動画とは、ハブに“拠点”という意味があるように、ブランドとターゲットを繋ぐもの。
Hero動画を観た視聴者が「次も見てみたい」となった時のがこれ。
自社のターゲットユーザーが関心を持つ可能性が高い情報の動画。

Hygiene(Help)動画は、ターゲットユーザーが持っている課題を解決する動画の事。
Hygiene動画とは衛生学を意味し、動画マーケティングでは、ユーザーを顧客化する事を指すようだ。
また、すでにあるコンテンツを、分かりやすく動画化することも、これに該当する。
さらには、宿公式Webで、宿側自身で発信する料理の献立や、最新情報などを紹介するショート動画も、これにあたる。
Hygiene動画は、HeroやHub動画ほど、映像のクオリティにこだわらなくてもいい。
それよりも、ありのままの宿の姿を紹介するほうが、より親近感が湧き、ファンを増やす事ができる。
その内容としては・・・季節の移ろいが分かる動画、宿へのアクセス、予約方法、宿泊者の声・・・などがお勧め。

私の会社では、「宿PV」という、宿泊施設のプロモーションビデオを制作している。
そこには、ドローンによる空撮、タイムラプス動画など、一目でその宿のキャラクターが分かるものを1分~90秒の長さで制作している。これが「宿PVプレミアム」。
これを、Hero動画として見ていただきたい。

次に、温泉、客室、周辺情報・・など、細かくテーマを決めて作っているのが「宿PVミニ」。
60秒ほどの尺だが、そこには充分に情報が詰まっている。
これは、Hub動画だろう。

そして、最近話題のVR(バーチャルリアリティ)動画も制作している。
スマホでWebサイトにアクセスした場合、VRゴーグルを目にあてれば、まさにその場にその映像のものが実際にあるように見える。
そのVR動画も、YouTubeは、PCでも対応するようになったのは大きい。
宿側から直接動画を発信できないなら、これをHygiene動画としてもいい。

以上がHHH戦略の概要。
Heroで多くの人々に出会い(集客)、Hubでターゲットとなる視聴者を掴み(ファン化)、Hygieneで問題を解決しコンバージョンを促す(顧客化)。
このような導線を作ることで、かなりの効果が期待できるはず。

Googleによれば、大企業ではすでに実践され、大きな成果をあげているとの事。
しかし、予算が潤沢な大企業だけでなく、小規模な宿泊施設でも充分取り入れることができる。
今、私はこれに無限大の可能性を感じている。
欲しい情報を探し、閲覧できるのがWebサイトとすれば、直感的に情報を自動的にもらうのが動画。
例えれば、“静”がWebサイト、“動”が動画。
言わば、お店がWebで、そのお店を宣伝する営業マンが動画。
ちょっとニュアンスが違うかもしれないが、ニュースを読む(見る)媒体として、“新聞”がWebサイトで、“テレビ”が動画とも言えるだろう。

SEO対策も、キーワード重視の時代から、動画重視の時代に移行しているのも事実。
Webサイト(静)と動画(動)を、バランスよく組み合わせれば、最良のマーケティングが実践できる。
配信イメージとしては、年に1~3回ほどHero動画をアップし、その隙間にHub動画を3~6回ほどアップ。
Hygiene動画は毎月アップするのが理想だろう。
何といっても、YouTubeに何本も動画を載せようが、無料だから。

動画マーケティングの時代

2016 年 6 月 30 日

YouTubeは、皆さんがご存知の通り、動画サイトの最大手。
YouTubeの動画は、世界で1日あたり40億回再生されていると言われています。
それは、世界人口のうち7人に1人がYouTubeを使用し、2人に1人が毎日1回はYouTube動画を見ている計算になるということ。

しかも、YouTubeは無料で無制限で動画を配信することができる。
これを、Webサイトへの誘導や、マーケティングに使わない手はない。
そもそも、動画が伝わる情報は、文字数に換算すると1分間につき、400字詰め原稿用紙4500枚に相当すると言われている。

実際、私の関わっている宿泊施設のオフィシャルサイトで、動画の埋め込みを徐々に実行し、成果を上げている。
動画を導入することによって、短時間で、明確に、情報を提供できるようになったからだ。

さらに、今はPCよりもスマホでWebを観る時代。
スマホは、PCほどじっくりと観てくれない。
できるだけ短い時間でも、できるだけ多くの情報を伝えたい。
だからこそ、動画は重要なのです。

また、SNSとの相性がよく、Webブラウザからの利用なら、facebookやTwitterなど、10以上のSNSのシェアボタンが設置されており、拡散に結びつく可能性も高い。

ちなみに、こんなデータもある。
動画を適切に埋め込んだWebサイトは、そうでないWebサイトよりも検索上位に表示される確率が最大53倍もアップするという。
もう、キーワードだけでは、SEOは語れないのだ。

来週も、私は、動画撮影のため、一眼レフだけでなく、ドローン、タイムラプス関連の機材など、クルマに満載して、宿を目指す。

不満足だからこそ生まれる事

2016 年 5 月 31 日

私の子供時代、熱狂しながら観ていたテレビ番組があった。
いわゆるスポーツ根性もの、略してスポ根漫画の代表格「巨人の星」だ。
後にジャイアンツの投手となった星飛雄馬が主人公。

小さい頃から、父・一徹のスパルタ教育を受け、毎日野球の練習に明け暮れ、将来は巨人のエースになる事を夢みる飛雄馬の成長物語だ。
しかし、念願のプロ野球の、しかも巨人の投手になったのも束の間、速球は投げられるものの体格が小さいため「球質が軽い」=「打たれれば球が飛びやすい」という、肉体的というか、体質的というか、練習をしても改善できない「致命的な欠点」を突き詰められる。

そこで、飛雄馬が考えたのがいわゆる「魔球」。
変化球を覚える選択肢もあったが、それは中途半端な投手にはなれるかもしれないが、飛雄馬が目指すのはあくまでも「巨人の星」であり「巨人のエース」だった。

だからこそ、誰でも投げられない、そして打たれない魔球が必要だったのだ。
その名前が「大リーグボール」。
飛雄馬は、苦闘の末、1号から3号まで、実に3つの魔球を完成させた。
その時は、紛れもなく飛雄馬は「巨人の星」だった。
「球質が軽い」=「打たれれば球が飛びやすい」という事が無ければ、飛雄馬が体格に恵まれていれば、「大リーグボール」は生まれなかった。

つまり、現状に不満足だからこそ、生まれた魔球なのだ。
これは、私たちの生活のなか、ビジネスのなかでも考えられる事。
現状に満足していたら、そこで成長は止まり、後は、下降するばかり。
不満足こそ、成長の原動力とも言える。
私も、現状の不満足の中から、自分なりの「大リーグボール」を、現在開発中だ。

しかし、無理はいけない。
飛雄馬が考えた魔球の最終形「大リーグボール3号」を完成した後、それが原因で、まもなく彼の投手生命も終わり、最終回を迎える。